映画で知る第2次世界大戦〈3〉
ヨーロッパでの戦い

 太平洋の島国に住む日本人にはその関係性が今一つとらえきれないことが多いように思える欧州戦域や大西洋での戦いですが、これらを描いた映画は数多くあります。戦いの全貌を理解するため、比較的史実に沿った内容の作品を中心に紹介していきます。

●開戦前夜の雰囲気

 第2次世界大戦の幕開けとなるのは、1939年9月1日のドイツによるポーランドへの電撃的な侵攻でしたが、その前月に不可侵条約を結んだ独ソの間で、周辺国への侵略が進められて行きました。中でも、ソ連の理不尽な領土要求に徹底的に抵抗したフィンランドの戦い「ウィンター・ウォー」は、映画の出来はともかく、日本人には知られざる「冬戦争」を描いた点でユニークですし、大国相手に国を守ることのリアルが伝わってきます。

 ポーランドは、ユダヤ人を中心とした民間人の犠牲者の多さも相まって、国民の実に6人に1人が戦争の犠牲になっています(日本は3%弱)。戦争中は独ソに国を分割され、戦後はソ連の衛星国として苦汁をなめてきました。アンジェイ・ワイダ監督は、自らの父親も犠牲となったソ連による1万数千人にも及ぶポーランド人将校大量虐殺事件「カティンの森」を創りました。皮肉なことに、この事件の実態を最初に暴いたのは、不可侵条約を破って侵攻して来たナチス・ドイツでした。

 ここからは第2次世界大戦開戦後の作品ですが、ドイツに里帰りした夫がナチズムに染まっていく様子をアメリカ人妻の視点から捉えた作品が「私が結婚した男」です。開戦翌年に公開されただけあって、ナチスの脅威を訴える生々しさがやりきれません。

 もう1本、42年6月、親衛隊(SS)幹部でチェコ副総督のラインハルト・ハイドリヒがナチス占領下のプラハで暗殺された事件を描いた反ナチ映画の傑作「死刑執行人もまた死す」も見逃せません。アメリカでの公開はなんと事件翌年3月のことです。

ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦 Talvisota 1989フィンランド 
[監督] ペッカ・パリッカ [主演] タネリ・マケラ、ヴェサ・ヴェイエリッコ
カティンの森 Katyn 2007ポーランド
[監督・脚本] アンジェイ・ワイダ [主演] マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ
私が結婚した男 The Man I Married 1940米
[監督] アーヴィング・ピシェル [主演] ジョーン・ベネット、フランシス・レデラー
死刑執行人もまた死す Hangmen also die 1943米
[監督・脚本] フリッツ・ラング [主演] ブライアン・ドンレヴィ、ウォルター・ブレナン