野中郁次郎
藤澤武夫本田宗一郎と「共感(エンパシー)」で結ばれたクリエイティブ・ペア
発明やイノベーション、偉業は、“I”ではなく“We”から生まれる──。こうした共創的な関係を、アメリカの作家ジョシュア・ウルフ・シェンクは「クリエイティブ・ペア」と名付けた。彼によれば、似た者同士ではない対照的な関係でありながらも、互いに補完的・依存的であり、だからこそ「1+1=∞」といった相乗的な関係へと発展し、ついには人々を驚かすような成果が創造されるという。本田技研工業(ホンダ)は、まさしく本田宗一郎と藤澤武夫というクリエイティブ・ペアによって発明された。

【感情労働で勝負する回転寿司チェーン】すし銚子丸が発見した劇場型の食体験
回転寿司チェーン「すし銚子丸」は、低価格の100円寿司や高級寿司店とは一線を画す「グルメ寿司」業態として成長を続けている。価格競争に走ることなく、職人による「感情労働」を強みとした劇場型経営で、家族や友人と楽しむ「特別な日」の食体験を提供している。この独自のポジショニングが、多くの顧客に支持される理由を探る。

【職人を1年で育てる】人気寿司チェーンの一風変わった組織戦略の効果
和食の代表格である寿司は、今や世界中にファンを持つ。その普及の一翼を担ったのが回転寿司だ。中でも、「劇場」をテーマにしたグルメ回転寿司チェーン「すし銚子丸」は、職人技とエンターテインメントを融合させ、顧客を魅了している。また、通常5年かかる寿司職人の育成を、早ければ1年に短縮する施策も導入。銚子丸が提供する新たな価値と、その裏にある職人育成の秘密に迫る。

【リスキリングを超える】スキルのリユースが新時代を感じさせる理由
人材不足が課題となっている現代において、リスキリングが脚光を浴びる一方で、スキルのリユースが新たな人材戦略として有効と考えら始めている。休眠状態にある熟練技術者の再活用が進める美容業界のチョキペタの事例がその可能性を示す一例である。競争の激しい職場を離れたプロフェッショナルたちが、どのようにして自身のスキルを再活用し、社会に貢献できるのか。

【驚きの採用戦略】成長を続ける会社の超効率的社員育成法
さまざまな業界で人材不足の危機が叫ばれる中、ユニークな採用戦略で成長を続ける企業がある。定期的に身だしなみを整える中高年女性を中心としたニーズに対して手頃な料金でサービスを提供する、カットとカラーの「メンテナンス」を専門とした美容室チェーン・チョキペタである。同社は、どのように成長に欠かせない採用と育成の問題を解決しているのか。

【動画の秘密】「腹落ちさせる力」が組織の可能性を引き出す
経営に使われるメディアには文字、音、動画の3種類があり、それぞれに独自の特徴がある。入山章栄教授による「経営とメディア」に関する記述を特別に抜粋して紹介する。

【動画経営】同業他社の2~3倍の売上げを叩き出す食品スーパー・オオゼキのこだわり
パートを中心に運営されることが多い食品スーパーの中で、正社員中心で売り場単位面積当たり2倍から3倍と高い売上げを誇る会社がある。徹底的な省力化と情報化を武器に経営する同業他社に対し、一見非効率に思える昭和のスーパーを標ぼうするオオゼキの強さの秘密はどこにあるのか?

【V字回復】クリスピー・クリーム・ドーナツの仕事の改善に動画はどう使われているか
クリスピー・クリーム・ドーナツは、2000年代に一大ブームを巻き起こした後、2010年代半ばに反動から苦境に陥った。そこで社長に就任した若月貴子社長の指揮のもと、経営を大幅に見直し、2017年8月から30か月連続で売上高前年超えを達成、見事なV字回復を成し遂げ、成長を続けている。同社の経営における業務の改善の仕組みを紹介する。

【知識創造理論】SECIモデルを回すのが難しい理由
日本発の経営理論である、野中郁次郎・一橋大学名誉教授による知識創造理論は、そのSECI(セキ)モデルにおいて、暗黙知と形式知の相互作用によって、競争力が生まれるという理論である。このSECIモデルが回りにくいことが日本のサービスの生産性が低い理由のひとつなのではないか。

【生産性問題】サービスで日本人の強みを生かすのが難しい根本原因
日本のサービスの生産性が低いと言われ始めて久しい。日本人の持つ品質へのこだわり、信頼性は世界的に評価されている製造業同様に高いものの、技術革新や効率性の面で劣るということらしい。なぜなのか。

【職場の不条理】なぜ生産性の高い人の給料が低くなってしまうのか
神業のような生産性を誇る人の報酬と、動きの鈍い人の報酬がほぼ同じであるような不条理はなぜ生まれてしまうのか。また、生産性の高い人が丁寧に教えればできない人も良くなるはずなのに、なぜそうならないのか。

いまこそ、知の作法を身につけよ(後編)
経営理論や知の創造をめぐる野中郁次郎教授と入山章栄教授の対談後編。

いまこそ、知の作法を身につけよ(前編)
経営理論や知の創造をめぐる野中郁次郎教授と入山章栄教授の対談前編。

本田宗一郎万事に “真剣な” 知的体育会系リーダー
アメリカ・デトロイトにあるオートモーティブ・ホール・オブ・フェイム(自動車殿堂)に、日本人として最初に殿堂入りを果たしたのが本田宗一郎である。私は、そこに飾られている一枚の写真の前で足が釘づけになった。それは、テストコースの路面に手をついてひざまずき、目の前を走り抜けるオートバイをじっと観察している本田の姿を写したものである。

第18回
私たちは毎日、無数の決断をしています。優れた決断の根底には優れた判断judgment)があるわけですが、すでにある選択肢の中から合理的に決めること(decision)とは異なり、判断には選択肢自体を考える知恵が必要です。チームリーダーとなれば、日々判断を求められる場面に遭遇します。その際、「自問自答すべき問い」を今回から解説していきます。この問いを繰り返し考え、実践することによって、将来、賢慮のリーダーとなる能力が磨かれることでしょう。

第17回
ビジネスリーダーにとってリベラルアーツがいかに重要であるかを熟知する新浪剛史・サントリーホールディングス社長は、野中郁次郎・一橋大学名誉教授による最新刊『史上最大の決断』からも「賢慮のリーダーシップ」を学んだという。そのキャリアにおける「最大の決断」から1年、異なる文化、価値観の融合というグローバルマネジメントに挑戦する新浪氏の姿は、「史上最大の作戦」を成功に導いたアイクのそれと重なる。

第16回
新浪剛史・サントリーホールディングス社長は、歴史研究から普遍的な知見を得ることで、リーダーは「勝つための」判断ができるようになるという。そうした自身の判断基準に指針を与えてくれた1人が野中郁次郎・一橋大学名誉教授。その最新刊『史上最大の決断』から得た知見と、グローバル事業におけるプラグマティズムについて聞いた。

第15回
日本軍を組織論から分析した『失敗の本質』の愛読者として知られる新浪剛史・サントリーホールディングス社長。同書から「リーダーは曖昧模糊とした判断をするべきではない」ことを学び、実践してきたという。最近読み直して痛感したのは「旧日本軍的発想が今の日本の企業社会にも残っている」こと。類い稀なるリーダーシップ、その実践力を高く評価する野中氏が、新浪氏の「戦史の読み方、学び方」について聞く特別対談を3回にわたってお届けする。

第2回
世界で闘う仲間のつくり方【後編】「学習する組織」から知識創造企業へ
台湾出身の3人が米国で創業、日本に本社を置き、世界中でビジネスを展開するイノベーティブな企業として知られるトレンドマイクロ。その企業文化とマネジメントの秘訣を創業者が明かした『世界で闘う仲間のつくり方』について、著者のジェニー・チャンと推薦者の野中郁次郎一橋大学名誉教授が語る。

世界で闘う仲間のつくり方【前編】オープンシステムとしてのトレンドマイクロ
台湾出身の3人が米国で創業、日本に本社を置き、世界中でビジネスを展開するイノベーティブな企業として知られるトレンドマイクロ。その企業文化とマネジメントの秘訣を創業者が明かした『世界で闘う仲間のつくり方』について、著者のジェニー・チャンと推薦者の野中郁次郎一橋大学名誉教授が語る。
