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アマゾン独自開発のスマホに施された
「ネット商人」的仕掛けをどう見るか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第301回】 2014年6月25日
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 たとえば、地図の画面にレストランを呼び出し、さらにファイアーを傾けると、イェルプのレストラン評価が見られるとか、電子書籍のページを繰ったり、テキストメッセージに写真を添付したりといったことが可能になるらしい。

 つまり、現在表示されている画面にレイヤーをかけるようなかたちで、関連する情報や動作が準備されていて、それを片手で呼び出せるということだろう。これを画像でやれば、製品の詳細がクロースアップで見られるとか、スタジアムの全景が見渡せるとか、そういった情報の作り込み方もできるようだ。

 実際に、どの程度うまく作動するのか、そして本当に役に立つ機能かがまだ不明だが、アマゾンはダイナミックパースペクティブのSDK(開発者用ツール)をすでに公開しており、ディベロッパーたちがおもしろいインターフェイスをどんどん付け加えることが期待されている。ゲームやウェブ利用などで便利な使い方が出てくるかもしれない。

 また、うわさの3D画面は、スマートフォンの前面4隅にカメラを内蔵したことで可能になっている。このカメラは写真撮影のためのメインカメラとは別に設けられているもので、ユーザーの頭の角度や目の位置を認識する。赤外線LEDで夜間でも機能する。

 3D画面はゲームに使えるほか、洋服などオンラインショッピングの商品を立体的に見るのに利用できるらしい。アマゾンが自社のショッピングサイトを3D対応にするのは時間の問題だろう。

スマホを向ければ即座に購入できる

「ファイアーフライ」の操作画面 Photo:amazon.com

 もうひとつの特徴は、「ファイアーフライ」という機能。これは、カメラを向けたものが、そのまま情報に変わるしくみだ。

 ファイアーでは、カメラ機能を立ち上げるための専用ハードウェアボタンがデバイスの側面についている。カメラへのアクセスを簡略化したのは、アマゾンの先見性だ。そのカメラに、たとえば名刺やポスターなどに刷られている電話番号を認識させると、すぐにダイアルできたり住所録に保存できたりする。

 もっとすごいのは、映画や音楽を識別すること。映画やテレビ番組の画面にカメラを向けると、そのタイトルや出演俳優の情報が見られ、その作品をアマゾンのストリーミングのウォッチリストに加えたり、DVDを購入したりできる。

 これはアマゾンの映画関連データベースX-Rayという機能を利用したもので、24万タイトルが識別可能という。音楽の場合は、独自に開発した楽曲認識サービスを統合し、ファイアーフライが聞き取ったメロディーのタイトルやアーティストを識別、アマゾンのサービスにもつなげる。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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