突如、会計監査を降りた
あずさ監査法人

 沿革をふり返ると、NOVAは、前社長の猿橋望氏が1981年に設立した「ノヴァ企画」が前身で、この年、大阪市に第1号教室を開設。その後、東京進出を果たすなど順調に成長した。そして2004年に、ジャスダック証券取引所への上場を果した経緯がある。

 一方、筆者が確認したところ、2003年3月期の有価証券報告書にも、冒頭でご紹介したのと同じ注記が存在する。言いかえれば、問題の受講料の45%を先食いする売上高の水増し商法を、NOVAはジャスダック上場前から繰り返していた疑惑が存在することになる。しかも主力業務である駅前留学サービスの受講料収入の45%が売り上げの水増しに費やされていたことを勘案すると、低収益に喘ぎ続けた同社が、各期にそれぞれきちんと営業黒字や経常黒字を確保できていたかどうかさえ疑わざるを得ない状況が、ここにある。

 ジャスダック証券取引所への上場前から、NOVAの会計監査をしてきたのは、3大監査法人のひとつ、あずさ(旧朝日)監査法人だ。ところが、不思議なことに、あずさは昨年9月の中間決算の際に突然、監査を辞任し、中堅監査法人のアクティブ監査法人が監査業務を引き継いでいる。

 当時は、今年4月になって最高裁からノーを突きつけられることになる中途解約料に関する訴訟について、すでに下級審がNOVAに不利な判決を下し、いつ、こうした会計処理が注目を集めてもおかしくない環境が熟成されていた時期だ。それだけに、関係者の間では、「あずさ監査法人が問題の発覚を恐れて辞任したのではないか」といった厳しい見方もある。

 日本公認会計士協会は、破綻した上場企業を対象に、それ以前の会計監査に問題がなかったかどうかを検証する「調査」制度を持つ。今回、清算が決まり、上場廃止になるNOVAについても、「今後、半年程度をかけて、調査する方針だ」(日本公認会計士協会)という。

 ただ、同協会の現在の会長は、長年、NOVAの会計監査を担当してきたあずさ監査法人の出身だ。

 カネボウ、足利銀行、日興コーディアルグループと繰り返された粉飾決算と、それらに加担し、自ら社会的な信頼を損ねてきた公認会計士たち。NOVA問題は、これらの公認会計士が失われた信頼を取り戻せるかどうかの試金石である。