経営 × オフィス

営業部門よりもエラい!?
経営を危うくする人事の特権意識

山口 博
【第3回】 2014年7月15日
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 しかし、今日では、ビジネスニーズに応じて(もちろん法規制に則った上でだが)、社内の各部門が柔軟なアクションを取るためのサポートやガイドをすることが期待されている。つまり、人事部が労基法の単なる門番だという時代は、とうに過ぎ去ったのだ。ビジネス部門をサポートする人事ビジネス・パートナーの時代にあっては、どう逆立ちしても、人事部がビジネス部門のストッパーになるなどという発想は生まれまい。

 しかし、いまだに30年以上前の特権意識や、それに伴うムラ意識、閉鎖思考を持ち続ける人事部門やスタッフが存在するのだから、困ったものだ。社員へサービス提供する部門が、社員と隔離されていてはいけないはずだ。

人事はそんなにエラいのか
営業会社の営業軽視

 私は、保険会社で支社人事、部門人事、本社人事、銀行出向などを経験してきた。その会社で入社12年目にして、法人営業部へ異動になったときのことだ。異動の内命公表があった日、多くの先輩、同僚から言われたことは、「山口、何(の不始末)をやらかしたのだ」(執筆者による注:何もやらかしていない)、「とうとうお前も(第一選抜から)はずれたか」(同:本人は、はずれたとは思っていない)ということだった。着任の挨拶をした際の、法人営業部長の私への第一声は、今でも鮮明に覚えている。「ご愁傷さま」であった。

 「当社は営業の会社だ」、「当社は保険営業で成り立っている」、「セールスマンやセールスレディが当社を支えている」、そう謳っている会社なのに、実は営業を軽視しているということが、とてもよく分かった瞬間だった。

 私は、この法人営業部時代に、営業センス、ビジネスセンスを、多少は身につけることができたのではないかと自負している。保険会社の法人営業は、その売り先が企業の人事部であったり、財務部であったりするので、人事を外から見ることにも役立ち、その後の人事でのキャリアづくりにも大いに役立った。この経験がなければ、その後、人材開発の責任者を務めたり、他の企業の人事全体を担うポジションで業務改革やM&A後の組織構築を推進したりすることができなかっただろう。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内外金融・IT・製造業企業で人材開発部長、人事本部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現在、株式会社リブ・コンサルティング人事部長兼組織開発コンサルティング事業部長。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


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