その課題は研修で解決すべきか
他の方法によるべきか
ニーズの探索により、さまざまな研修ニーズが明確になったとしても、すぐに研修企画に取りかかるのは賢明なやり方ではありません。その前に、明確になった研修ニーズが本当に研修で解決することが最適なのかどうか、他の解決方法はないのか、2、人材マネジメント施策の検討を行います。
人材に関するすべての課題を研修で解決できるわけではありません。人材マネジメント施策には、採用・人材育成・配置・処遇などがあり、研修は人材育成の一手法に過ぎません。組織内で上がってくる人材に関する課題は、研修では解決できないこともありますし、研修と他の人材マネジメント施策を組み合わせて解決するべき課題もあります。
例えば、経営戦略的に「外国語能力のある人材」が今すぐ必要だ、という場合、従業員向けの外国語研修を行うよりも、外国語能力の高い人材を採用する方が効率的かもしれません。
研修開発担当者は、どんなことでも研修で解決しようとしがちですが、ニーズによっては、研修では解決できない、あるいは解決しにくいものもあるので、注意深く検討することが大切です。
ニーズを探索し、検討の結果、研修を行うことが効果的であると判断された場合、次にすべきことは3、学習者の分析です。研修の対象者=学習者は誰なのかを設定し、その学習者について分析します。学習者を分析するにあたっては、
①対象者
②参加人数・参加単位(「各職場から2人ずつ」「職場単位」「個人」、など)
③期間・場所・コスト
④ソーシャルサポート(職場の上司・先輩・同僚などから協力が得られるか)
⑤望まれる効果と予想される困難(研修を行うことによるメリット・デメリットなど)
といった観点で行います。たとえ「社員全員を集めての研修が課題解決に一番効果的だ」としても、スケジュールや予算面で現実的でない場合も多々あります。さまざまな観点から誰に対して研修を行うのかを決めていきましょう。
学習者が決定したら、その学習者について、よく知ることが重要です。できれば事前に、現場に赴き、研修内容に関わる事柄について学習者やその関係者に対してインタビューを行うなど、学習者の現場の状況や直面している課題について知っておくと、より現場に即した研修を企画することができます。