
慶應義塾が運営する大学の医学部と大学付属病院は、慶應ブランドを輝かせる存在だ。しかし医学部と大学病院が経営にとって重い足かせになろうとしている。連載『教育・受験 最前線』では、学校法人の最新決算から、この問題に斬り込む。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
大看板の医学部と大学病院が
“足手まとい”になる
優秀な受験生が医学部の合格を奪い合うのは、輝かしい将来に続く道と信じるからだ。学校を運営する学校法人にとっても医学部を持つことは、大学あるいはエスカレーター校全体にとって強い武器となる。
学生生徒を集める吸引力になるし、医学論文などで教育・研究機関として世界的から評価されやすいし、他の理工系とも連携してヘルスケア分野の研究や開発の成果が期待できる。故に早稲田大学は長年、医学部の買収を目指してきた。
早稲田大のライバルである慶應義塾は私立最高峰の医学部を擁し、優秀な頭脳を集めてきた。慶應義塾大学の付属病院はブランド化し、最先端の診療と研究を行っている。しかし、である。慶應義塾が公表したほやほやの最新決算は、この大看板である医学部と大学病院の大問題をあらわにしている。
次ページでは、慶應義塾のほか医学部を持つ順天堂、日本大学、近畿大学、東海大学の最新決算から経営に斬り込む。