安部教授によれば、ヤギは1日3キロの干し草があれば生きていけるそうだ。それを貯蔵飼料でまかなうとすれば、まずは刈っておいた雑草を干し草にして、トウモロコシの茎を細かく切って袋詰めしておく。すると発酵して腐らなくなる。要するに「サイレージ」である。

 自分で作るのはとても無理だという方は農協に行けば20~30キロ単位で牧草の干し草を販売しているので、それを購入しても良いかもしれない。1日あたりに換算するとだいたい200円くらいのエサ代で済むそうだから、これもペットよりは安い。

 糞尿の問題に関して少し補足すると、雑食の鶏や豚に比べれば、草食動物であるヤギの糞はそれほど臭くない。実際にこの目と鼻で確認したが、臭いはあまりなく、見た目もコロコロしている。印象としてはウザギの糞を少し大きくした感じだ。牛も同じ草食動物のため本来は臭くないはずなのだが、こちらは量が多いのと水分を多量に含むため、どうしても臭く、見た目も汚らしくなってしまうのが難点である。

 以上の点を考慮し、それでもヤギを飼われる場合はどうぞ自己責任でご判断いただきたい。

梅雨は苦手なヤギだが
体は牛・豚・鶏よりも丈夫!?

――ヤギはもともと乾燥地帯に生息している生き物なので、水をそれほど飲まなくても平気だと聞きました。

「ラクダほどではないですけれど、一度水を飲むと数日間は生きられるくらい“乾き”には強いと言われています。反対に湿気は苦手で、真夏にイタズラしてホースで上から水をかけたりすると、嫌がって逃げ出しますね。ここでも雨が降ってくると、草むらに隠れていますよ」

――梅雨の長雨は憂鬱でしょうね。

「あまり気持ちは良くないでしょう。ただ、濡れたから死ぬわけでもないし、すぐに疾病を発症するわけでもない。ほかの家畜に比べたら、ヤギはむしろ耐久性があります。というのは、牛・豚・鶏に比べてそれほど育種改良されていませんから。比較的、野生に近いままなのです。

 日本では高度経済成長以降、牛も豚も鶏も人間が求める生産性に合わせて『一滴でも多くのミルクを、1日でも早く太るように、一個でも多く卵を産むように』と、日々、改良されてきました。その裏で、ものすごく不健康にもなっている。病気になりやすいし、故障しやすいんです。考えてもみてください。鶏が産む卵の殻はカルシウムです。たくさん産めば当然、カルシウム不足になります。だから、骨折事故がものすごく多い。豚の場合、子どもを産んだら、子豚を傷つけないように運動を制限されます。狭い鉄さくに入れられたおかげで、あちこち傷だらけになった豚もいます」

――なんだか切ない話です……。

「アジア・アフリカ地域はヤギを飼育していますが、数を多くするのが精一杯であまり育種改良をしていない。欧米の研究機関はすでにかなりの予算をつけヤギの改良もしていますし、それが実際の生産にも反映されている。日本の場合は幸か不幸かこれまでその生産性を期待されていなかったために、ヤギは比較的元気です」