取引先の社長から直接お誘いが!
しかしそこには思わぬリスクも……
優秀な人が「いまの会社、辞めようかな」と言うと、すぐ周囲から「うちに来ませんか」と声がかかります。あるフィールドのなかで優秀と認められている人は、転職活動をしなくてもそうやって知り合いから声をかけられ、転職していく人が少なくありません。
これは「ご縁転職」と呼ばれるパターンで決して悪くない話に思えますが、意外と落とし穴があるものです。実際、我々コンサルタントが転職志望者と面談をしていると「知り合いに声をかけられていまの会社に転職したのですが、結局うまくいかなくて……」というケースに出合うことはけっこうあります。
ご縁転職がうまくいかなかったパターンでよく見かけるのは、「取引先の社長に声をかけられて」という転職です。あまり周囲から声をかけられた経験のない人が取引先の社長から直接誘われて舞い上がってしまい、事前に大事なことを確認せず転職するため後悔する結果になってしまうのです。
とくにこのパターンが多いのは大企業出身者です。なぜなら、大企業出身者は性善説の人が多いからです。性善説に立って重要な点を確認しないままポジティブな想像をして、過剰な期待を持って転職するため、入社してから「話が違う」ということになるのです。
また、プロジェクト部隊の先輩だった人から転職の誘いがかかったようなケースも、条件面や仕事の内容について納得するまで話をしていないことがよくあります。細かく話を詰めようとして「お前、俺を信用していないのか」と言われるのを恐れ、これまた重要なことを確認せずに転職してしまっているのです。