撮影:住友一俊 |
世界的な金融危機は、最悪の時期を脱したと考えている。
ロンドンにおける銀行間の取引金利であるLIBORと、米国の国債の金利差は縮まってきたし、S&Pケース・シラー住宅価格指数の先物の動向などを見ても、今秋には底打ちしそうだからだ。
ただ国内の実体経済は悪化の一途。急激な円高も拍車をかけており、今年1年は厳しい状況が続きそうだ。当社も例外ではなく、2008年4~12月期決算は676億円の最終赤字を計上する厳しいものとなった。
しかし、好調な部門もある。その一つが米国部門。
米国において国債の売買を特別に認められているプライマリーディーラーの資格を持っており、当社の健全性を評価してくれた各国の中央銀行が次々に口座を開設、好条件で売買してくれたからだ。おかげで米国部門は過去最高益だ。
幸い、巨額の損失が生じるような“直接弾”も受けずにすんでいる。そのため自己資本の毀損は大きくなく、投資余力はまだ残されている。
そこで狙うのはアジアだ。現在、欧米の投資家と投資ファンドを組成する方向で検討しており、それを使って集中的に投資していくつもりだ。
銀行と証券の垣根をなくす議論があったが、今回の金融危機によって、銀行が傘下に証券などを抱え金融業務全般を手がけるビジネスモデルは終焉を迎えた。資本市場の発展を支えるのは証券会社で、今後は証券専業の強みを生かして存在感を示していきたい。(談)
(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 田島靖久)