本当は市民は病院も図書館も関心を持っていなかった。だけれども、あえて関心を持ってもらうために、「スパイス」を加えたっていうのが、僕の今までのやり方なんです。そうすると、自ずとそこに参加しようっていう雰囲気が生まれてくる。

ひわたし・けいすけ
1969年佐賀県武雄市に生まれる。93年東大経卒、総務庁(現総務省)に入庁。2006年武雄市長に当選。TSUTAYAを展開するCCCと組んで、昨年4月、武雄市図書館を再生。次に取り組むのは教育革命。今年4月に、公教育と学習塾が組む「官民一体型」 の学校を開校すると発表。仕事上のキーワードは、「まずやる、速い、やめる、ほいほい組む」。あとは「作り笑顔で勝負」。と言いつつ、実は仕事よりもランニングが好き 。今年は秋のマラソンにチャレンジ。5時間を切れたらいいなと、密かにたくらんでいる。5月刊行の著書『沸騰!図書館』で、新書大賞や本屋大賞、できれば芥川賞を狙っているとの噂も。    Photo by Kazuaki Toyonaga

 三つ目に大事なのは、やっぱり政策は商品だということ。僕はそう思うんです。図書館も、病院も、教育も、僕は商品だと思っていて、その商品っていうのは見ないと分からない。いくら言葉でiPhoneがいいと言ったって、モノがないと誰も理解できない。iPhoneを実際に見て「これすげーな」となるんであって、これは政策も一緒なんですよ。要するに、政治家がきれいごと言っても、もう誰も信頼していない。だけど、なぜ僕が今一定の求心力があるかというと、ちゃんとした商品を出しているからなんですよね。

 じゃあ、それで100%かと言ったら、そうではない。いろいろな不満が出てくれば、バージョンアップすればいいんであって、とにかく最初にモノを見せるということがすごい大事。それでどんどん修正していきましょうということなんです。そういう点では元々、われわれの土台が従来の自治体の土台とは全然違うんですね。ある意味僕らは「自治体2.0」のところにいると思っていて、今までのだめ自治体がだめな自治体の真似をしてやっていくと、結局だめになっていく。だから、僕らがそれと真逆のことをやれば、うまくいく可能性が高くなりますよね。

 僕らは準備にそんな時間かけない。市民合意にあまり時間を取らない。じゃあ市民合意は取れないかと言ったら、そんなことはなくて、形を見せてどんどん市民合意を取っていく。それに対してやっぱり反発はありますね。その反発ですら話題にしていく。逆風は体の向きを変えれば順風になるわけだから。だからそういう風にして絶えず動くことによって、体の向きを変えてきたっていうのが、この8年間だったと思いますね。