岸見 子育てに関するカウンセリングをしていても、子どもの短所や、欠点、問題行動などを挙げ続ける母親がとても多い。止めなかったら1時間くらい話す人もいます。カウンセリングではその内容を聞くのはあまり重要ではなく、母親が子どものよくないところばかり見ているという一つの事実さえわかればいい。

ホリエモンもほれた<br />閉塞した社会を切り開くアドラーの教え「子どもの短所を挙げる母親がとても多い」という岸見氏に対し、「僕はポジティブリストを出して、人の長所を見つける生き方をしたい」と堀江氏。

堀江 なるほど。

岸見 それを変えていくのがカウンセリングの目的なのですが、「子どもの長所を教えてください」と聞いても、ほとんどの人がすぐに言葉に詰まってしまいます。

堀江 とても面白いエピソードですね。だから僕はポジティブリストを出して、人の長所を見つける生き方をしたいと思っているんです。刑務所に入ってその思いは、より強くなりましたね。刑務所に入っている人なんて、悪いところを見つけようと思えば簡単なんです。でも、いいところもたくさんあって、そこをちゃんと伸ばしてあげれば、犯罪をするような人にはならなかったんじゃないかという思いを抱くようになりました。

岸見 悪い部分ではなく、良い部分にスポットライトを当てるべきだということですね。さらに言えば、悪い部分も含めて自分のことを認めることが必要です。そのためには前編でも言いましたが、できもしないのにできると暗示をかけるような「自己肯定」ではなく、できないことも含めて自分を受容する「自己受容」が大切。そして、自分が他者に貢献できていると思えたとき、「自分は価値がある存在なんだ」とはじめて思える。

堀江『嫌われる勇気』は刑務所で読まれるといいかもしれませんね。

自分のことを不細工だと
思っていた本当の理由

岸見 でも難しいのは、ある目的を達成するために、あえて自分のいいところを見つけようとしない人もいるということなんです。モテないと思っている限りは女の子に声を掛けなくてもいいですよね。でも、自分にはいいところがあると思っているなら、女の子に声を掛けなければいけない。そうすると断られるかもしれないですよ。傷つくリスクがある。そういうリスクを冒さないために自分はモテないと思い込むわけです。

堀江 なるほど。それは耳が痛い指摘です。まさに、僕がそうでした。