『中谷彰宏の人生道場』テーマ第2弾は、「企画力」です。企画力と一言でいっても、「本当の企画力とは何か」をわかっている人は多くありません。企画した“つもり”になっている人が非常に多いのです。人に感動を与えたり、人を楽しませたりできる、質の高い企画を生むためには、「1%でもいいからプラスしたい」という強い思い入れが重要。これまで、数えきれないほどの企画を自ら作り、またさまざまな人たちの企画も見てきた経験を持つ中谷彰宏が、「本当の企画力とは何か」を伝授します。
まずは、打つ。 それから、狙う。
企画は、狙ってはダメです。まず、打つことです。ついやりがちなのは、「狙ってから、打つ」です。でも、これは企画のやり方としては間違いです。
企画で大切なことは、「打ってから、狙う」感覚です。打ってみると、どれぐらいはずれるかわかります。打ったら、はずれます。バサバサと飛び立つ鳥が出てきたら、次を狙って打てばいいのです。
1発目から当てる必要はないし、当てようと力んではいけません。1発目から狙っていると、はずれたショックが大きすぎます。
「ああ、はずれた」となって、2発目が出ません。最初から狙わず、ただ打っただけなら、はずれても別にいいわけです。それぐらい軽い気持ちでやるのです。
普通は狙わないと打ってはいけないのに、むちゃくちゃなやり方です。でも、とりあえず試しに打ってみようという気持ちでいいのです。
「企画」という言葉はかたいです。もう少しフワーッと抜けたぐらいの感じでやってみるのです。「工夫」のほうが軽くて、力が抜けています。
「企画部」までいってしまうと、かなり力が入っています。そうではなくて、すべてのことにちょっとした工夫をすればいいのです。
料理で調味料をパパッとかける、これだけで違います。隠し味にちょっとお酒を入れるようなことです。「これが秘伝!」ということではありません。仕事の中で、あとひと工夫してみるのです。
私は子供の時、町へ行って映画を見た帰りに、カレーを食べました。その時、ごはんがこっちに寄っていて、ルーだけこっちに盛ってある形を初めて見て、画期的だと感じました。そして、「これはオシャレだ、家でやってみよう」と思いました。
妹のカレーを盛りつける時、ごはんを片側に寄せて、カレーを片側にして、お店のようにやってあげました。妹に「お店みたい」と言われ、「あっ、ウケた」とうれしかったです。
次は、サラダをどこへ盛ればいいか考えました。こんなことが楽しかったのです。どう盛ろうがカレーはカレー、ごはんの上にかけるだけです。
でも、何か工夫すると、必ずウケてくれる人が出てきます。そのモチベーションで、企画力が磨かれるのです。