【解 説】企業活動のふたつの目的
会社の実態を分析するためにもっともよく利用される手法が財務分析です。ここでは、その体系についてお話しします。
会計は企業活動の実態を表現する道具です。
管理会計学者のアンソニーは、企業活動の目的を次のように言っています。
「一般に、事業の総合目的は、数量的に測定可能な範囲において、健全な財務状態を維持しながら、そこに投下された資金に対して十分な報酬を獲得すること」
アンソニー 管理会計 アメリカ経営学体系 第10巻 昭和45年5月15日
つまり、企業活動の目的はつぎのふたつから構成されているということです。
1.健全な財務状態を維持すること(バランスシート)
2.そこに投下された資金より十分な報酬を得ること(損益計算書)
したがって、企業活動の目的は健全な財務状態を維持しながら、利益(報酬)を獲得することであり、その実態を表しているのがバランスシート、損益計算書なのです。
よって、財務分析は大きく財務健全性分析と収益性分析のふたつに分けられます。
●財務健全性分析は、企業が調達した資金を効率的に運用しているか、財務は企業が存続していくうえで健全な状態になっているかを分析する処方で、主にバランスシートを対象とします。
●収益性分析は、企業活動がどれだけの利益を獲得したかを分析する手法で、主として損益計算書を対象とします。
また、分類上は収益性に含まれるものの、バランスシートと損益計算書を統合した指標として「総資本利益率」があります。
(おわり)
※本連載は(月)(水)(金)に掲載いたします。
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