今回ご紹介するのは、成毛眞著『大人げない大人になれ!』です。元マイクロソフト日本法人社長という顔の他、投資コンサルティング会社設立者、ビジネス界きっての読書家など多彩な顔を持つ著者が語る「幸せな人生をおくるための考え方」とは。

35歳でマイクロソフト
日本法人社長に就任

「元日本マイクロソフト社長」。
 成毛眞さんを紹介するプロフィールに必ずといっていいほど記載されている肩書きです。なにしろ、弱冠35歳にして世界のマイクロソフトの日本法人社長に就任した事実をして語らしめることほど強力な武器はありません。あの水戸の御老公の「葵の御紋」にも似て。もっとも、昨今では「成毛眞=HONZ代表」が定着してきており、“IT企業経営者”というより“出版人”のイメージのほうが強くなっているようにも感じられます。

 ちなみに、HONZとは「読むに値する『おすすめ本』を紹介する」人気書評サイトのこと。小説、自己啓発書、IT専門書を除くすべての新刊書籍を対象に、成毛さんを含む20人ほどのレビュアーが、「ベストセラーではないが、丹念に作られた本。有名ではないが、個性が光る著者」などについて批評し、発信しています(「ダイヤモンド社書籍オンライン」も一部の記事を提供しています。興味のある方はhttp://honz.jp/をご覧になってください)。

 それはさておき、いまや旧聞に属する話で恐縮なのですが、マイクロソフトの日本法人を離れてコンサルティング会社を立ち上げたその成毛さんに、筆者は週刊誌の企画でインタビューを試みたことがあります。「金融資産1億円への道」と題した特集企画の目玉記事「元マイクロソフト社長 成毛眞が『個人の資産運用』を大公開!」(週刊ダイヤモンド2003年7月26日号)がそれをまとめたものです。

 ビル・ゲイツ率いるマイクロソフトが1995年に全世界で発売した「ウィンドウズ95」は、画期的OSとして人気を博し、日本国内でも圧倒的なシェアを獲得したことはご承知のとおりです。成毛さんはその立役者でもあったわけですが、その後次第にIT業界への関心を失い、マイクロソフトを離れて「インスパイア」を起業します。ここで筆者らが注目したのはそのコンサル会社ではなく、マイクロソフトのストックオプションを行使して億万長者になった成毛さんは一体どのように個人資産を運用しているのか、という一点にありました。当時はゼロ金利まっただ中、少しでも有利な運用先を求めて誰しも情報収集に躍起になっているような時代でした。