中国の国家発展改革委員会は20日、自動車業界における独占禁止法違反の問題で、日本の部品メーカー12社に対し違反行為を認め、うち10社に対して、総額12億3540万元(日本円で約207億円)の罰金処分の決定を発表した。独禁法違反の罰金としては過去最高額で、処罰決定日から起算して15日以内の支払いが命じられる。

 このような形で複数の日本企業が一気に摘発の対象になったのは、過去に例がない。しかも、あまりに突然だ。はたして一過性の「日本いじめ」なのかどうか、中国で経済活動を行う多くの日本企業が固唾をのんで見守っている。

 今回の摘発は、中国独占禁止法(中華人民共和国反壟断法)の第13条を適用したもので、企業が商品価格を固定または変更することを禁止する「価格カルテル違反」が疑われた。

 一方、中国で独占禁止法が施行されたのは2008年8月1日のことであり、今年8月でようやく6年が経ったところだ。中国における独占禁止法の取り締まりは、緒に就いたばかりだといえる。

 この間、何もなかったわけではない。中国では昨年、大きく3つの取り締まりが行われ、内外から注目されている。

 2013年1月、韓国のサムスンやLGなどの液晶パネル大手6社が「価格独占行為」を指摘され、総額3億5300万元(当時のレートで約51.4億円)が課された。また2月には、中国の白酒(バイジュウ)ブランドである「茅台酒」と「五糧液」の販売業者が、流通業者に対し「最低再販価格を限定」したことから、それぞれ2億4700万元(同・約36.5億円)及び2億0200万元(同・約29.8億円)が課された。また、8月にはフランスの食品大手ダノンをはじめとする海外の粉ミルクメーカー6社に対し、「価格操作」と、独占禁止法で禁止される「再販価格を設定していた」ことを理由に、合計1億1000万ドル(同・約108億円)が課された。

 中国の法律事務所は「これまで、法律はあっても取り締まりの経験がなく、対応スタッフも不足し、同法は絵に書いた餅という現実だった」と語るが、液晶パネルや白酒など中国国内でいくつかの案件で実績を積んだことや、海外の独禁法を学んだスタッフも充実し、国際的にも憚ることなく独占禁止法の運用ができるようになってきたことなどを理由に、「今後、取り締まりはいっそう本格化するだろう」と予測する。