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「知識労働のための組織は、今後ますます専門家によって構成されることになる。彼ら専門家は、自らの専門領域については、組織内の誰よりも詳しくなければならない」(『ポスト資本主義社会』)
いまや先進国では、あらゆる組織が、専門家によって構成される知識組織である。
そのため昔と違って、ほとんどの上司が、自分の部下の仕事を知らない。そもそも今日の上司には、部下と同じ仕事をした経験がない。彼らが若かった頃には、なかったような仕事ばかりである。したがって彼らのうち、部下たる専門家の貢献を評価できるだけの知識を持つ者もいない。
いかなる知識といえども、他の知識よりも上位にあるということはない。知識の位置づけは、それぞれの知識に特有の優位性ではなく、共通の任務に対する貢献度によって規定される。
かくして現代の組織は、知識の専門家によるフラットな組織である。じつにそれは、同等の者、同僚、僚友による組織である。
そしてそのフラットな組織において、彼らの全員が、まさに日常の仕事として、生産手段としての自らの頭脳を用い、組織の命運にかかわる判断と決定を連日行なう。
つまり、全員が責任ある意思決定者である。
もっともドラッカーは、自分よりも詳しい者が同じ組織にいるようでは、専門家とはいえないと言う。
「現代の組織は、ボスと部下の組織ではない。僚友によるチームである」(『ポスト資本主義社会』)