河内孝氏(かわち・たかし) 毎日新聞社会部、政治部、ワシントン支局、外信部長などを経て編集局次長。その後、社長室長や中部本社代表など経営の中枢にも携わる。2006年に常務取締役(営業・総合メディア担当)を退任後、新聞業界の問題点を内側から鋭くえぐり、再生への道標を記した『新聞社―破綻したビジネスモデル』(新潮新書)がベストセラーとなり、業界でも大きな波紋を広げた。 |
――ANY連合にしても、まだ中途半端な感じがありますが。
当然といえば当然だ。デジタル化とは何なのか、いまだ日本のテレビ、新聞の経営者は懐疑的だからだ。
これまでは、コンテンツを作ることと消費者に届けることが一体化していた。テレビ局の電波は国の免許が必要であり、だれも入ってこられなかった。新聞も免許こそないが大きな生産設備や流通配達網が必要だった。
――でもこれからは違う?
そうだ。これからは通信だろうが、電波だろうが、紙だろうが、そして携帯だろうが垣根がなくなっていく。だれでもコンテンツ製造業者になれる、クリエーターになれる時代には、装置そのものが重荷になってくる。新聞も本音では重荷から解き放たれたいが、何百万人も読者がいるから簡単にシフトできない。
一方、身軽な新規参入者は自由に動ける。携帯電話の戦略で、国を引きずっているNTTドコモとソフトバンクを比べてみればわかりやすい。
――近い将来、新聞業界はどうなっていくのでしょうか。
世界のメディアを見ると圧倒的に欧米勢が握っている。そこで日本というマーケットの規模を考えると、主要プレーヤーは1つでいいのかもしれない。