元祖低価格航空会社として独立を貫いてきたスカイマークだが、超大型機の納入を機につまずき、経営不安が表面化。救世主の登場が取り沙汰されているが視界は不明瞭だ。

2011年、エアバスのA380導入を発表する西久保社長(右)。A380は500人以上が搭乗可能で、国際線への投入を予定していた。この方向転換が、変調の始まりだった
Photo:AFP=時事

「関心はない。協議も行われていない」──。8月19日、エアアジアのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、ツイッターでこうつぶやいた。

 この日、一部新聞で、今後の資金繰りに不安のあったスカイマークに対し、アジアの格安航空会社(LCC)のエアアジアが、経営支援の検討に入ったと報じられた。

 外資規制により、海外企業は日本の航空会社の経営権を完全には掌握できないため、楽天などと設立した日本法人を通じて資本参加するという。

 報道を受けて、スカイマークの株価は急上昇。だが、当のエアアジアのフェルナンデスCEOは即座に冒頭のようなつれない反応をし、国土交通省関係者も「そんな話は一切聞いていない」とにべもない。スカイマークへの救いの手は早くも雲散霧消しそうなのだ。

 スカイマークの経営危機が一気に表面化したのは7月下旬のこと。欧州の航空機メーカー、エアバスからの納入を予定していた超大型機「A380」の代金支払いが滞り、エアバス側は態度を硬化。スカイマークに対して契約解除を通告してきた上に、約7億ドルに上る違約金が発生する可能性があると、あいくちを突き付けてきた。

 その結果、スカイマークの株価は急降下した。何しろ、スカイマークの自己資本は450億円程度で、とても、違約金の支払いに耐え得る財務体質ではないからだ。2014年3月期には赤字に陥っており、単独での生き残りは難しいという見方が大勢だ。