ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
「働き方」という経営問題―The Future of Work―

人事政策と働き方を変える
「タレントマネジメント・システム」とは?

河合起季
【第8回】 2014年9月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2
nextpage

 たとえば、こんなケースを見聞きしたことはないだろうか。

 プロジェクトのリーダーを選出する会議で、力を持つ役員が「この人がいいですよ」と推薦すると、他の役員はその社員の評価履歴などを検証することもなく、「○○さんが言うのなら…」と合意してしまう。

 社員が1000人を超えるような企業の場合、たった1人の主観で決めた社員が本当に適任といえるかは怪しい。ましてや国内外に支店を展開しているグローバル企業なら、なおのこと。もしかしたら優秀な人材が埋もれてしまっているかもしれない。

 タレントマネジメント・システムで社員一人ひとりの情報をデータ化していれば、条件に合った人材を検索し、リーダー候補を絞り込むことができる。より的確な人材の登用、適正配置が可能になるわけだ。

 「企業が海外に進出する際、英語が達者な社員を、という選抜で失敗したため、今度は本当に海外で活躍できるような人材をデータベースで探したいというニーズも多いですね」(全氏)

有能な社員を離職させない

 さらに、評価の高い人材と低い人材を比較すると、評価の低い人材に足りないスキルや能力は何かといったこともわかる。データを見ながら必要なポイントを重点的に教育できるので、短期間で人材育成が行えるのもメリット。このようにして、人材や組織の価値の最大化を図ることができるのだ。

 「どういうパーソナリティの人材が自社にふさわしいのか、といったこともわかります。合わない人材を採用してもなかなか伸びない。であれば、自社で活躍できる人材の条件を採用基準に加え、採用段階で見つけておきたいという企業もあります」(全氏)

 たしかに営業に強い人材を採用したい場合など、自社の営業職のハイパフォーマーと同じようなタイプに絞り込めば効率的かもしれない。

 優秀な人材をつなぎ止める効果も期待されているようだ。

 「これまでのような主観だけに頼る評価では、社員が不満を持ち、優秀な人材の流出を止められないでしょう。実際、若く優秀な社員ほど、やりがいやよりよい待遇、スキルアップの機会を求めて転職するケースが増えています。ですから、社員のモチベーションを高めるために、継続的にしっかりと評価していきたいという企業が増えているのです」(全氏)

 少子化が進み、今後ますます人材が不足していくのは明らか。優秀な人材の流出は企業にとって大きな痛手になる。その防止策としても有効といえそうだ。

previous page
2
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

「働き方」という経営問題―The Future of Work―

人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

「「働き方」という経営問題―The Future of Work―」

⇒バックナンバー一覧