「年功序列システム」とは、国会議員の当選回数に応じて、閣僚、副大臣、国会の委員会、党の役員といった、さまざまなポストを割り振っていく人事システムである。自民党議員は当選5~6回で初入閣までは横並びで出世し、その後は能力や実績に応じて閣僚・党役員を歴任していく。55年体制時代、自民党の国会議員は約300人もおり、全員が納得できるように党の役職を割り振るのは簡単ではないため、「当選回数」というわかりやすい基準を設けたのだ。このシステムは自民党政権の長期化に伴って固定化し、「当選回数」は国会議員を評価する絶対的な基準となっていた。

 しかし、「政権交代」が起こるようになって、この人事システムはうまく機能しなくなってきた。年功序列の人事システムは、自民党一党支配下で多くの自民党議員が連続当選する、事実上の「終身雇用制」を前提としてきた。しかし、政権交代が起こるようになれば、順調に連続当選してキャリアを重ねる議員は限られ、年功序列・終身雇用制は崩れてしまう。その上、野党転落を恐れる自民党は、次回総選挙の勝利を期すため、能力の高い人材を起用し、国民にアピールできる人材を抜擢せざるを得なくなった。ただ当選回数を重ねただけで能力に欠ける議員を、起用する余裕はなくなってしまったのだ。

 要するに、日本政治に「政権交代ある民主主義」が実現したことが、一党支配を前提とした年功序列システム (当選回数至上主義)を崩壊させたといえる。しかし、それは一方で、「重要閣僚留任」「女性閣僚大量登用」「大多数の待機組不採用」という、安倍首相なりの「適材適所」の人事を可能にしたともいえる。

留任する主要閣僚:
麻生副総理、甘利経済財政再生相は、成長戦略への転換に適さない

 ただ、安倍首相が「適材適所」と自賛しても、それが本当に「適材適所」の人事配置かどうかは、まったく別の話である。そこで、今回の内閣改造・党人事の詳細な検証を行いたい。

 まず、菅官房長官、麻生副総理・財務相・金融相、甘利明経済財政・再生相、岸田文雄外相、菅義偉内閣官房長官、公明党の太田昭宏国土交通相など主要閣僚を留任させたことは、経済政策の「安定性」「継続性」を重視したものだと考えられる。だが、この安定性、継続性こそが、今後は問題となってくる。それは、これまでの人事配置が、公共事業・金融緩和の推進には有効に機能するが、成長戦略・構造改革への転換には適さないものだからだ(第51回を参照のこと)。