そうした状況を考えれば、代ゼミが私大文系で幅を利かせている「唯一の正解」を問うような学力試験から速やかにと撤退しようというのも分からないではない。そして、代ゼミがしたたかなのは、完全撤退をしていないところだ。原宿にある造形学校を除けば、6つの拠点校舎は残す。そこでは従来型の学力試験に対応するのである。なぜならば、東大の推薦入試とか京大の特色入試とかいったところで、まだまだ定員枠からすれば学力試験の定員枠のほうが圧倒的に大きいからだ。

生き残れるか、受験産業

 河合塾とベネッセは、模擬試験が媒介となり、高校とも大学とも関係は強い。模試のデータは高校の進学指導でも大学の募集戦略でも、今やなくてはならない情報である。

 その点、駿台はうまくない。

 ちょうど代ゼミの文書が講師に届いた翌日に、河合塾池袋校南校舎で京大交流会(予備校・高校対象)が開かれた。主催はもちろん京大であり、これから行う特色入試に関する説明と意見聴取である。この会合自体に隔世の感があるが、それだけ特色入試の導入に対して大学側は慎重かつ意欲的だ。

 この会合にはSKYが顔を揃えた。私の代ゼミの仲間も参加していたが、「いろいろと大変だね」と声をかけると、返事もなく消えていった。高宮副理事長も来ていたようだが、顔を合わすことはなかった。参加者も心ここにあらずといったところだった。

 河合塾は、懇親会で京大の教員から「達成度テストを導入されると困るでしょ」と問われても、「私たちはテクニックではなくて教科の本質を教えているのでむしろ歓迎しています」と答えるほどの余裕を見せていた。

 駿台は、分かりにくいがよく読めば記載ミスではない点を「間違っている」と鬼の首を取ったかのように勇んで質問していた。どうも大学との付き合いが浅いようだ。交流会も既に各地で開催されており、ひと通りの意見が出ているものと思ったほうが良く、それでも網の目から抜けているようなことがあれば、むしろ懇親会で尋ねるべきだった。

 ここで私が言いたいのは、河合塾が素晴らしくて駿台が劣っているということではない。このやりとりから、大学とそれぞれの予備校の距離を感じてもらいたいのだ。