阿里巴巴集団は、無料のB2Bマッチングサイトから始まった

 新聞やネットニュースを読むと、阿里巴巴集団の成功はこう説明されています。

・アリババは中国のネット通販市場で8割のシェアを持つうえ、2014年4~6月期の取扱高が前年同期比46%増になるなど急成長を続けている

 ただそれだけのことなのでしょうか。

 いや、違います。阿里巴巴集団は「閉鎖的な中国市場でたまたま先駆者だったから成功した」訳ではありません。大きなビジネスモデル革新(イノベーション)を起こし、それを実現し続けたからこそ、「大」成功したのです。

 95年に米シアトル出張中にインターネットと出会った英語教師の馬雲(Ma, "Jack" Yun、1964~)は、帰国後すぐネットビジネスを始め、4年後の99年、B2B eマーケットプレイスであるアリババ(*2)を立ち上げました。

 なんの変哲(へんてつ)もないサイトでしたが、当時、中国で急増していたネットB2B企業を見習って、「基本無料」にしたのが受けました。あっという間に会員は数万社になって有名になりましたが、同時に、サーバー代や人件費で50万元(約800万円)の創業資金は底をつきました。

孫正義、苦境の阿里巴巴への出資20億円を「目」で決める

 99年というタイミングが馬雲の味方をします。「世界の工場」となっていた中国市場でのB2B eマーケットプレイスに商機ありとみたベンチャー投資家たちが、彼の阿里巴巴集団に500万ドルの投資を決めました。

 ここに稀代の博打打ち(ベンチャーキャピタリスト)、孫正義が登場します。彼は2000年に2000万ドル、04年に6000万ドルを投じて株式の37%を取得しました。

 2000年当時、まだアリババは赤字のままで、収益モデルを模索していた時期でした。投資家向けの財務数値もプレゼンテーション用資料もなく、孫はただただ馬雲の目と会話(「伝説の6分間」ともいわれる)とで決めたといいます。「彼の目つきは動物的臭いがした」

 馬雲はその資金を使ってその経営目的である「中国の中小企業が世界に輸出する仕事を『易しく』する」の実現に走りました。

*2 命名の由来は、「アリババと四十人の盗賊」が世界的に知られていたのと、「インターネットの世界で埋もれた宝物を発見する」ため。