今読みたい戦略書【第9位】
パーサ・ボース『アレクサンドロス大王―その戦略と戦術』
自分から新しい成果を引き出す「突破戦略」

古今東西3000年から厳選する、<br />今、日本人が読むべき「戦略書」ベスト10【後編】

 紀元前3世紀ごろ、ギリシャ世界を征服していたマケドニア国のフィリッポス2世の息子が歴史上有名なアレクサンダー大王です。彼は父王が暗殺されたことで、わずが20歳で王位につきますが、その後前人未到のインドへの東方大遠征を成し遂げます。

 軍事国家マケドニアに生まれながら、父王の教育方針でギリシャ文明を幼少期から学んでいたアレクサンダーは、ギリシャを代表する哲学者アリストテレスを家庭教師に持ったこともある異色の青年期を過ごしています。

 彼は軍事国家の自己規律と苛烈さ、ギリシャ文明の哲学的思考を身につけ、2つの国の枠組みを飛び越えるような問題解決力を持ちました。強国ペルシャを圧倒し、エジプトを征服。最終的にはインド洋にまで達する巨大帝国を創り上げる過程は「あくなき挑戦をする者の姿」を私たちに見せてくれます。新たに何かを創り上げるとき、大王の生涯のエピソードはいろいろな示唆を与えてくれます。