ヒューレット・パッカード(HP)が、会社を二分するという。その結果、一般消費者向けコピュータ(PC)やプリンターを扱う新HP(HP Inc.) と、企業向けサービス、ソフトウェア、ネットワーク、サーバー、データストレージ、コンサルティングなどを手がけるヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPエンタープライズ)が生まれる。

プリンター事業が
リーマン以降失速

 会社分割は来年10月までに完了の予定だ。現在同社のCEOであるメグ・ホイットマン氏は、HPエンタープライズのCEOに就任し、新HPのCEOには、現在PCとプリンター事業部のトップを務めるディオン・ワイスラー氏が就任する。

 HPといえば、シリコンバレーの歴史ある企業だ。スタンフォード大学で学んだ2人の学生が新しいテクノロジーを元に起業し、その後会社が大きく成長したという物語。最初にその道を付けたのは、同社の2人の創業者であるビル・ヒューレットとデイブ・パッカードが、1939年にガレージで会社を起こしたことだった。

 だが、近年のHPは巨大化した上、いくつもの経営判断の失敗やトラブルに見舞われた。新しい製品やサービスを次々と発表して快調だったプリンター事業も、2008年以降の景気後退から回復できず、収入の大きな柱だったプリンター関連サプライをはじめ、消費者向け、企業向けプリンターを含めて縮小したままだった。

 HPではすでに大掛かりなレイオフを行っており、その数は4万5000人から5万人とされていたが、今回の会社分割の発表に伴ってさらに5000人を加えている。総計5万5000人が解雇されるというわけだが、何とこの数はグーグルの全社員数よりも多いと指摘されている。ハードウェアを抱えてきたHP は、それだけ巨大化していたということ。同社の2013年秋時点での総社員数は、31万7500人にも上ったという。