話題の書『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る法』著者で、NHKキャスター歴17年の矢野香氏に、「これをやると、ますます緊張する!やってはいけない行為ワースト5」を伝授してもらった。
あなたも、このNG行為を、知らず知らずにやっていないだろうか?

出版講演会で一番質問を受けたこと

矢野 香(やの・かおり) スピーチコンサルタント。信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。 NHKキャスター歴17年。おもにニュース報道番組を担当し、番組視聴率20%超えを記録した実績を持つ。 大学院では、心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号取得。 現在は、国立大学の教員としてスピーチ研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職、ビジネスパーソン、学生などに「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。 相手に与える印象の分析・改善力に定評があり、話し方・表情・動作を総合的に指導。全国から研修・講演依頼があとをたたない。 著書に、ベストセラーとなった『その話し方では軽すぎます!――エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)などがある。 【著者オフィシャルサイトはこちら】

「私、緊張するんですけど、どうすればいいですか?」

拙著出版後、書店イベントで東京、福岡などの書店さんで講演させていただきました。
 その中の質問コーナーで、必ず聞かれるのが、

「緊張しない方法」です。

 今回は、「緊張」をテーマに、NHK式のノウハウをお伝えします。

 まず、一番大事なこと。
 それは、「緊張するのはいいこと」
 ということです。

NHK入社4年目、衝撃的な上司からの電話

 NHKでアナウンスの仕事を始めて4年目のことでした。

 私が担当していた全国ニュースを見た、現在、別の地域に転勤したかつての上司から内線電話が鳴りました。

「放送見たよ。ちょっと緊張してた?」

「いいえ! 緊張しているように見えました? 全然緊張していなかったんですけど」

「……君もそろそろ辞めどきかな……」

 そう言って、電話は切れてしまいました。

 私は上司の言った本意がわからず、黙って受話器を握りしめたまま、しばらく動けませんでした。

 いま思うと上司が言いたかったのは、こういうことなのでしょう。
 緊張感を持たずに画面に出るのは、視聴者に失礼である。
 適度な緊張感がない話し手が伝えるニュースは、軽い内容として伝わってしまう。

 上司は、私の緊張感が欠けていたことに気づいて忠告してくれたのでしょう。