最近、海外のファンドマネジャー連中から、日本のソブリン・リスク=信用状態を心配するメールがよく来る。中には、「ギリシャの次は日本という話が出ているが、大丈夫か?」というものまである。それだけ、海外投資家がわが国のソブリン・リスクを心配し始めている証拠だ。

 問題の発端となったギリシャの財政状況は深刻で、問題は長期化することが予想される。今後、ギリシャのケースがさらにこじれるようだと、EUの共通通貨であるユーロにも一層のマイナスの影響が出るはずだ。

 ただ、問題はギリシャだけに止まらない。当初、不安視されていた諸国は、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)だったが、その後、範囲が広がっている。足元では、ソブリン・リスク懸念はSTUPID(スペイン、トルコ、UK=英国、ポルトガル、ドバイ)諸国に拡大している。

海外投資家の目には、STUPID諸国の延長線上に、多額の財政赤字を抱える日本が来る。抱えている債務額を見ると、日本の財政状況はまさに“火の車”で、「ギリシャの次は日本か?」と言いたくなる気持ちは理解できる。また、そうした財政状況にもかかわらず、民主党政権は、一般会計の総額が92兆円あまりにも達する過去最大の予算編成を行い、収入面では、税収を上回る44兆円もの国債を発行してやりくりする。

 国内の潤沢な資金バランスや、国債購入者の約95%が国内投資家であることを考えると、すぐに、わが国の国債がデフォルトになるとは考えにくいものの、現在の政府のスタンスを見ていると、海外投資家ならずとも、「日本が心配だ」という心理は当然といえるかもしれない。

ギリシャは海外投資家に依存
日本は国内投資家が国債を購入

 現在、日本もギリシャも多額の債務を抱えていることに違いはない。ところが、両者で最もことなるポイントは、発行する国債を購入する投資家に大きな違いがある。ギリシャは、国内の投資資金が少ないこともあり、発行する国債の消化を海外投資家の資金に依存せざるをえない状況だ。つまり、海外投資家の資金に頼って、国の資金繰りをつけているのである。

  一方、わが国の国債は、ほとんど国内投資家によって消化されている。その背景には、国内に潤沢な資金が存在することがある。企業部門が強い競争力を持っているため、わが国は、輸出が輸入を上回る貿易黒字国である。そのため、毎年、国内全体で見ると貯蓄が増加する。