そんな営業現場の新陳代謝は激しい。当方の同期入社組は約800名いたが、30歳になる前に半数近くが退職していった(最近は契約社員の採用など雇用の多様化で代謝が行われているようだ)。ただ、彼らが辞めていったのは業績が悪かったから、という理由とは限らない。

「ここにいるよりも、もっと違う場所で、新しいことにチャレンジしたい」

 こうした前向きな志で転職、起業したケースもたくさんあった。例えば、リクルートと同業他社の転職支援サービス企業インテリジェンスの経営陣や某ネット系企業の経営幹部などは、まさにこうした理由で辞めていった人たちだ。2000年代前半はネットベンチャー企業でリクルート出身者が増え、

「石を投げればリクルートOBに当たる」

 と言われるような時期もあった。ただ、実のところ起業した人材は意外にも少ない。「ゼロから1」を生み出すよりも「1から10」にする能力をリクルートで学んで、活かしているからではないか……と当方は分析している。

王者リクルートが後塵を拝した分野も
懸念は時代の変化への「スピード感」

 さて、話を戻して。現在のリクルートは、創業者・江副氏の遺産(ビジネスモデル)を巧みに展開して成長を果たしてきた。それが「ゼクシィ」や「じゃらん」などであり、現在のリクルートの収益基盤になっている。

 もちろんずっと順調だったわけではない。Yahoo!やGoogleのような検索サイトの登場で長年提供してきた紙の情報誌の価値が著しく下がり、危機感が生まれた時期もあった。それでも、顧客接点力の高い営業組織がクライアントをがっちりと掴んで、リクルートの存在価値を維持してきた。

 ちなみに、リクルートのビジネスモデルを模倣した同業他社は、これまで数多く登場してきた。ときにはニッチ業界に特化したり、大幅にダンピングしたコスト戦略で注目を浴びた企業もあった。それでも、リクルートを脅かす存在になった競合は少ない。それくらい、創業時から続くビジネスモデルと営業組織は強固な存在なのである。

 ただ、リクルートを脅かした競合がゼロであったわけではない。ついには勝負に敗れたケースもいくつかある。そこに、今後のリクルートが飛躍し続けるためのヒントが隠れているのではないだろうか? ここからは、リクルートのこれからの課題について考えてみたい。