同じような経験をしても、会社を辞める者と辞めない者がいて、ほとんどの場合は辞めないほうが多いはず。

「ここで働く覚悟」ができさえすれば、少々の失敗を過大視して、ミスマッチと錯覚することはないはずです。しかし、覚悟がどうやってできるかは、若手のパーソナリティにもよるかもしれません。

 あらゆる若手、あらゆる状況に適応できる対処・解決法はないかもしれませんが、一つ言えることは「職場メンバーの関与」によって若手は仕事と職場になじみ、職場になじむことがだんだんと覚悟の醸成につながるだろう、ということです。

 その際の望ましい関与のしかたは、仕事の成果だけを問うのではなく、プロセスに関与すること、と言うべきかもしれません。

負荷をかけずに
モチベーションを高めるには

 入社前のミスマッチ感を緩和し、モチベーションの高い状態で入社を迎えること。そして、早期に職場になじみ、業務になじむこと。これが入社前から入社後にかけて、新入社員に働きかけ、実現するべきことです。

 そのスタートが内定者フォローにある、と考え、そのプログラムを設計していただきたいと思います。

 もちろん、何をどこまで実行するかは、会社の考え方によります。内定者とはいえ学生ですから、あまりに負荷をかけることは望ましくないでしょう。また、人事部門にとっては次年度の採用活動も重なってくることもあり、時間と手間が割きにくい、ということもあるはずです。

 負荷をかけず、手間をかけずに、モチベーションを高める。入社への期待を高める。それが知恵の出しどころです。連載第3回で紹介したように、内定者一人一人と手紙のやりとりで不安に答える、というやり方もあります。

 また、他の会社では、内定期間に2回の集合研修を実施し、先輩社員が話をし、ワークを通して会社の現状を伝える、ということをしています。

 月に1回、人事部門から内定者に手紙を郵送し(文面は全員に対して同じですが)、社内報を同封する、という会社もあります。

 つまるところ、一定のコミュニケーションを図ることで疑問に答え、会社の様子を伝え、働きかたを紹介しながら社風を伝えるというのが入社への期待感を高め、やる気を高めることにつながる、ということです。そして、そのことがとりもなおさず、早期戦力化につながり得る、ということを指摘しておきたいと思います。

 次回は、もう少し、企業事例を紹介したいと思います。