「ここで働く覚悟」は
どうすればできるのか
2人の退社理由は、私にはわかりません。しかし、何らかのミスマッチがあったのだろう、ということは想像できます。
連載第1回にも書きましたが、どんな企業に入社するにせよ、多かれ少なかれミスマッチはあります。心から入社したいと思った企業であっても、入社してみて「入社前に想像していた会社像と寸分も違わなかった」などということは、あるはずがありません。
・思ったより、仕事の手順が複雑だった。
・理解できないほど、怖い先輩がいた。
・営業に配属されたが、なかなか受注できない。
誰しも覚えがあるはずです。さまざまなレベルで「想定外」ということがあるはずです。
4月の研修で、私の記憶に強く残った男子がいました。やる気に満ち、堂々とした発言でグループをリードしていました。
彼は、フォローアップ研修でも、やはりグループの中心になってワークに取り組んでいましたが、少し印象が変わっていました。よく言えば“落ち着きが出た”、見ようによっては“4月に比べて元気がない”。
後から、上司に当たる社員から話を聞きました。彼は、営業部門に配属されましたが、思うように成果を上げることができず、少し悩んでいるようだ、ということでした。
おそらく彼は、もっと簡単に商品が売れるだろう、と思っていたと思います。しかし、現実は、そうではなかった。
これもミスマッチのありようの一つだろうと思います。
しかし、彼は「ここで頑張ろう」と思っている。上司も、意欲を認めて、サポートをしているようです。
こうした厳しい現実と直面するのが一年目です。リアリティ・ショックという言葉もあります。
それは、職種や業種を問わず、誰もが経験することです。