外資系トップから見た
日本企業・社会の課題と解決方法

  パネルディスカッションでは、アクセンチュア代表取締役社長の程近智氏がパネラーの考える、日本企業・社会の課題認識、解決のアイデアといった豊富な経験に裏打ちされた鋭い意見を引き出しました。そこで示されたさまざまな事例と視点は、大きく3つのテーマに分類されます。

外資系トップから見た 日本・日本企業の再生処方<br />~GAISHIKEI LEADERSエグゼクティブセミナー

 第1に、多くの日本企業においてかつて強みだった同質化した内部コミュニティが、非連続な変化が求められる時代に相応しくなくなってきており、多様性を取り入れていくことが求められているという指摘です。その解決には、外資系経験者など外部人材を採用し、組織に多様性を移植していく必要があります。

「組織の環境と成長のステージによって異なるので、一言でどちらが良い、悪いというべきものではありませんが、進化のステージとして経営のグローバル化が必要な局面に来ている企業が多いのは事実です。その実現のためには、取締役、トップから変わっていかなければなりません」(コクヨ社外取締役 浜田宏氏)

「多くの日本企業でチェンジエージェントが求められています。適材を適所に配置して長期に育成していくという人材育成の仕組みではスピードの速い変化に対応できなくなってきており、適所適材の考え方でポジションプランニングを行っていかなければなりません」(G&Sグローバル・アドバイザーズ代表取締役社長 橘フクシマ咲江氏)

 2つ目は、日系企業で働く多くの日本人が、まだまだ個人のキャリア形成についての意識が薄く、また企業側もグローバル人材育成の仕組みが不十分であることです。これについては、ようやく日本でも「グローバル人材」が不足しているという危機感が共有されつつあり、双方の意識改革が進んでいるという認識が共有されました。

「長く一つのことを追求してきたことが悪いのではなく、危機感の無いことが問題なのです。自らの市場価値を認識し、コンフォートゾーンに安住せず自らを磨いていく姿勢が重要でしょう」(ハイアール アジア社長兼CEO 伊藤嘉明氏)

「グローバル化しなくてはいけない、と言い始めたこと自体が遅いと思います。二十数年前からアジアの学生は英語習得が当たり前です。日本の学生も見習わなければなりません。企業経営も、事業のグローバル化と言いつつ、経営者自身にグローバル人材になるという意思がないように見えるケースがまだまだ多いようです」(ワールド取締役 足立光氏)

 そして3点目は、日本社会の産業構造として、資本・人材を再配分するダイナミクスが機能していないことです。これは、一企業が努力して解決できる問題ではないので、日本全体、国としての取り組みが求められます。

「欧米型は資本の流動性が高いため株価がトリガーとなって事業再編が行われますが、日本の場合は資本の流動性が低く自己規律的であるため連続赤字が続くまで再編が行われません。資本と人材の再配分を通じて新陳代謝が活性化される仕組みを社会として導入していくことが求められます」(ザ・リアルリアル代表取締役社長・CEO 藤井清孝)

「アベノミクスの影響、また新陳代謝の必要性の認識も強くなってきており、ガバナンスの点でも社外取締役の導入などが進展しています。今後に期待したいところです」(フクシマ氏)

 ディスカッションを通じて感じられたのは、すでに課題と解決策についてはある程度共通認識ができており、それを後押しして各分野で実行していく段階にあるということです。外資系マネジャーたちも外資系企業で足踏みするのでなく、日本社会において「適所適材」の適材が求められる時に真っ先に貢献できるよう、自らの強みを鍛え備えることが必要です。私たちはそれを「和魂洋才を磨く」というコンセプトで発信しています。