

2020年東京オリンピックが決まり、来日観光客が1000万人を突破するなど明るい兆しが見え始めた日本の観光ビジネス。だが一方で、言葉、文化、慣習の違いなどから新しい課題が浮上している。これから海外の需要を取り込み、さらには地方経済産業の活性化へつなげるには何が必要なのか。公私含めて50ヵ国以上を訪問してきた加藤英太郎氏に聞いた。
ボスニア内戦の傷跡、ブータンで想起した日本の原風景、ウズベキスタンで圧倒された世界史の激動…。これらは、過去3年間で訪れた21ヵ国で実際に目にした“絵”の一部です。東京で仕事をしながらのハードな旅でしたが、それが苦にならなかったのはひとえに現地の「一次情報」に触れたかったからです。
旅を通して、日本の素晴らしさを再認識し、それを海外に伝えるために何ができるかを客観的に見つめ直すのも楽しみの1つです。そこで得た問題意識をベースに、「外国人」の目線で日本各地を見てみようと、国内を旅するようになりました。
2014年6月に訪れた青森県での体験から見えてきたのは、日本という「観光地」に内在する課題と可能性です。
2013年の来日観光客は前年比24%増と初めて1000万人の大台を突破しましたが、日本は世界ランク27位、上位15ヵ国は年間2000万人以上です。政府の統計によると来日観光客の6割は東京都(2位は大阪府が25%)を訪問しており、青森県は1%未満です。
国・地域別で見ると、約8割がアジア地域からで、その8割が東アジア諸国と突出しています。これら近隣諸国からの観光客が大台突破の立役者と言って過言ではありません。
一方で、こんな疑問が湧いてきます。なぜ来日観光客の裾野が広がらないのか?