最近の危機には
2つの特徴がみられる

 そのヒントは、最近の経済や金融に関する危機にみられる2つの特徴にあります。

・ 危機が発生するインターバルが短くなっている
・ 資本市場や実体経済に対する影響の波及経路が、わかりづらくなっている

 前者には、銀行や資産運用業といった金融セクターが保有する資産や負債が急拡大していること、そして後者には、デリバティブズや証券化などの先端金融技術が急速に発展したこと、が関係しています。そして、その2つの現象を増幅させたのが、1970年代以降の国際資本市場の拡大だったのです。

 だとすれば、グローバル化と金融技術の高度化が進んだ直近の数十年を十分理解しておくことこそが「現在の状況と課題」を知るうえで特に重要だと考えます。

 さらに、この間を振り返ると、ドルに代表されるアメリカの覇権が世界経済に大きな影響を与え続けてきたことがわかります。ただし、そうした構造が今後徐々に変化していくこともあり得るでしょう。