多能工でもあるマネジャーが
理想的な人材像ではないか

 04年頃から、「キャリア自立」ということがいわれ始めた。私も、キャリア自立研修を数多く行ってきた。そんなときに、人事部の人間から「キャリア自立なんかされてしまったら、優秀な人材が辞めてしまいませんか?」という質問をよく受けた。

 そうした質問はもはやナンセンスだ。できる人材を繋ぎとめておける時代は終わった。社畜という言葉はすでに半分、過去のものになった。

 人として正しく扱われていない人間から、創造的なものは生まれない。組織の成員がすべて自らの意思を持ち、主体的に動きつつ、本人たちの自由意思として全体的に整合している。そんな組織が理想だろう。

 プロジェティスタは多能工であるが、第一義的な専門性はマネジメントの力だ。だから、プロジェクトマネジメントのプロと呼ばれる。管理ではなく、目的を遂行するために徹底的に研ぎ澄ませている力だ。

 彼らはそうした力を、自らが望む方向で発揮するために企業を飛び出した。彼らが企業でおもしろくないと言っているのは、同じマネジャーと言ってもアドミニストレーターだからだと推察できる。

 マネジャーが多能工であることの意味は大きい。専門性を磨いている人間の心がわかる。彼らにしばらくの間、伴走しながら教えていくこともできる。技術の関連性を説くこともできる。俯瞰した絵が描ける。

 だから、プロジェティスタはそれぞれ専門の技術者からそのキャリアをスタートさせている。

 若いうちに専門性を磨くことは間違いではない。そのうちに周辺に視野を広げ、蛸壺に留まらずに多能工への道を歩む。そうする中で、マネジメント力も身につけていく。現場を忘れない、つまりはいつまでもプレイヤーとしての自信も持ち続けたマネジャーになっていってもらいたいと思っている。