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失速するiTunesミュージック
焦るアップルの過剰マーケティングに
U2のボノもあきれる

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第318回】 2014年10月29日
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 ただ、大きく異なるのは料金だろう。有料であってもストリーミングサービスの料金は月額10ドル程度が普通で、それで何百万とある楽曲が自由に聴けるのは魅力だ。

 さらに、自分では知らなかった楽曲が、他のユーザーのお勧めによって知ることができる。ストリーミングサービスは、その手のソーシャルネットワークをシームレスに統合していることも特徴だろう。パンドラは、独自の音楽ゲノムプロジェクトによって、ユーザーが好みそうな楽曲を探し出してくるという機能もある。

U2の新作をiTunesユーザーに無料配布したが
「勝手に入れるな!」の苦情が殺到

 こうして、次から次へと新しい音楽を延々と楽しもうという方法は、1曲1曲サーチしてダウンロードするiTunes musicのモデルとは様変わりしているわけだ。その意味で、最近アップルは少々時代遅れな感覚を露出してしまった事件があった。

 U2の新アルバム『Songs of Innocence』をiTunesのユーザーに無料でプレゼントするという大判振る舞いが、裏目に出たのだ。それは、9月初めに開催され、iPhone6やアップルウォッチなどが発表されたイベントでアピールされた。U2が招かれ、そこで新アルバムが5億人のiTunesユーザーへの「フリーギフト」として贈られることが伝えられた。

アップルが公開した「無料でプレゼントしたU2のアルバムを削除するツール」の案内ページ

 ところが、その後自分のデバイスに勝手に同アルバムの楽曲がダウンロードされていることに、多数のユーザーが苦情を表明。アップルは結局、アルバムを消去するツールをリリースしなければならなかったほどだ。

 U2のメインボーカリストのボノも、「頼みもしなかったのに、自宅の冷蔵庫の中に勝手にミルクが入っていたようなもの。玄関先に届けるくらいが正しかった」と述べて、同社のここまでの過剰なマーケティングは知らなかったとしている。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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