経営 X 人事

ならず者たちはフォロワーシップを
発揮できるのか

コーチングは筋トレのようなもの

 当時から現在まで、社員にコーチング文化を根付かせることをミッションとしている担当者がいます。当時の様子をについて聞くと、こんな言葉が返ってきました。

-自転車って一回乗ることができたら、何十年経っても体が覚えているじゃないですか。でも、コーチングって忘れちゃうんですよね。筋トレのように鍛錬していないと衰えてしまう。

 この表現には妙に納得しました。コーチングは研修によって一瞬気持ちがホットになったとしても、一朝一夕で身につくようなものではありませんでした。

 コーチングに限りませんが、人事施策が本当に文化として根付くには研修そのものに加えてその後のフォローアップが重要だったのです。

 渇きが産まれた社内に対して、効果的なコーチング手法を根付かせるために「社内コーチ」を養成することを決めました。

 社内にコーチングの価値や意義がわかっていて、技術を身に着けている人を一定数配置し、新たに管理職となった人や、コーチングに興味を持つ人がいたときに、すぐ近くに聞ける人がいる、という状態を作りだそうと考えました。

 まずは第一期生として30人のコーチをつくることが目標。社内コーチ育成のために実際に行ったプログラムが以下の3つです。

・社外のプロフェッショナルコーチを全員につける
・2人一組でピアコーチングを毎週実施する
・月に1回のシャドーコーチングを行う

 とりわけ、月に1回のシャドーコーチングはみっちりと行いました。

 シャドーコーチングとは社内コーチの候補生が5人一組で行うもので、コーチングを行う人(1)と行われる人(2)のそれぞれの後ろに「シャドー」(3)(4)がぴったりとはりつきます(その様子はまるで二人羽織のよう)。そしてオブザーバー(5)が全体を俯瞰して見ます。

 セッションの内容は、(1)と(2)が実際にコーチングを実施し、終了後にシャドー、オブザーバーからそれぞれフィードバックを与えます。周囲のフィードバックを受け、コーチ役は内省し、次回に活かす、これが1セットです。

 このセッションを役割を交代して続けていきます。そうすると本当に体力を消耗し、くたくたになります。しかし、疲労が見られる参加者に感想を聞くと「研修の前後でこれだけ変化したことがない」と確実に手ごたえを感じているのでした。

-5回もシャドーコーチングを重ねると、まるで会話の質が違う。相手の話を待ち、聞き、返す、ということが実践レベルでできるようになる。周囲のフィードバックを受けることにこれほど価値があるとは思わなかった

 前出の担当者はこう振り返ります。

 こうして約半年間に及ぶ鍛錬期間を終了した約30人が「社内コーチ」として認定されました。彼らは各部門で活躍し「コーチング」の伝道師となっています。社内コーチ養成プログラムはその後も継続しており、2015年1月には約100人が認定を受け、社内で活躍している予定です。

 また、シャドーコーチングはその後全社展開し、1on1ミーティングのスキル向上を望む人ならば誰でも受けられる「シャドーコーチング道場」となりました。こうしてコーチングのスキルアップを望む人がいつでも鍛錬する場ができあがっていきました。

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2002年地元の仙台にて菓子製造小売業を起業し、2005年ヤフー株式会社に入社と同時に28歳にして初の上京。
ヤフーオークション、ヤフーショッピングの企画・営業を経験後、2012年より組織開発・人財開発に携わる。
 


ヤフー「爆速人財育成」の秘密

2012年4月に新体制に移行し、「爆速」をキーワードにスピード経営を進めるヤフー。企業提携や新サービスの展開など、その事業はダイナミックに拡大成長する。その爆速経営の基盤の一つとして、人材マネジメントも変革してきた。本連載は、ヤフーの人材マネジメントの根幹である「1on1ミーティング」を軸に、育成の秘密を明らかにする。

「ヤフー「爆速人財育成」の秘密」

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