LNG・原油の輸入増による
貿易赤字は有害無益でしかない

 原発停止による悪影響を示すデータは他にも数多あるが、その代表例としては『国際収支』が挙げられる。財務省が発表した「平成26年上半期中 国際収支状況(速報)の概要」では、平成8年(1996年)上半期~平成26年(2014年)上半期での半期ごとの経常収支の推移が掲載されている〔資料5〕。

 これを見ると一目瞭然だが、『貿易収支』だけがプラスからマイナスへと大きく変化してきている以外には、特段の変化は見られない。上半期の経常赤字は、現行基準で比較可能な1985年以降で初めてのことだ。

 火力発電用のLNG(液化天然ガス)など燃料の輸入額が高水準で推移している上、製造業の海外生産が進んでおり、貿易赤字が巨額になっていることが経常赤字の理由だ。燃料輸入額が高水準になってきたのは、震災による原発事故を契機として国内原発が順次停止に追い込まれたことによる悪影響だ。

 平成23年以降の「上半期中 国際収支状況」に関する財務省発表資料のうち、貿易収支の部分を抜粋すると次の通りである。貿易収支のプラス・マイナスについては、短絡的にプラス評価・マイナス評価を下すことはできない。

 ただ、一つ確実に言えることは、LNGや原油の輸入増による収支赤字は、決して良いものではないということだ。むしろ、有害無益である。年を追うごとに赤字幅が広がっていることがわかる。

平成23年
▲5,011億円の赤字(前年同期比▲4兆5,779億円 赤字に転化)

鉱物性燃料の価格上昇等により輸入が増加し、また、東日本大震災等の影響により輸出が減少した結果、貿易収支は赤字に転じた(昭和60年上半期以降で初の赤字)。

平成24年
▲2兆4,957億円の赤字(前年同期比▲1兆9,999億円 赤字幅拡大)

震災の反動増もあり、自動車を中心に輸出が増加したものの、鉱物性燃料の価格上昇等により輸入が増加した結果、貿易収支は赤字幅を拡大した(赤字額は既往第1位、第2位は平成23年下半期の▲1兆1,207億円)。

平成25年
▲4兆2,382億円の赤字(前年同期比▲1兆8,129億円 赤字幅拡大)

有機化合物や鉱物性燃料を中心に輸出が増加したものの、液化天然ガスや原粗油を中心とした輸入の増加が上回ったことから、貿易収支は赤字幅を拡大した(貿易収支の赤字は5期連続。昭和60年上半期以降では最大の赤字額。第2位は平成24年下半期の▲3兆3,888億円)。

平成26年
▲6兆1,124億円の赤字(前年同期比▲2兆6,855億円 赤字幅拡大)

 自動車や科学光学機器を中心に輸出が増加したものの、液化天然ガスや原粗油を中心とした輸入の増加が上回ったことから、貿易収支は赤字幅を拡大した。