日本企業は関心なし、
上海市民もまた無関心

 一方、上海を中心とする一部の日本企業の日中首脳会談への反応だが、意外なことに「ほとんど無関心」を印象付けた。日中関係の改善は、在中の日本企業が何より望んでいたことではないか、と認識していた筆者にとっては拍子抜けした感じだった。

 上海ではもとより政治意識は低い。だが、現地に長期在住する日本人になるほど、あるいは逆に日中ビジネスに長く携わる中国人になるほど、日中関係の起伏にはすでに免疫ができている。また、考えてみれば、いまどきこの逆風の中国に残っている日本企業といえば、よほどの商機を見込む大企業か、腹をくくって根を張る中小企業である。撤退が進んだことで淘汰が進み、ここで頑張る日本企業は相当タフな存在だとも言えるだろう。「政治に左右されない民間ビジネス」に自信を持ち、「政治は語るに及ばない」とする態度が目立つのだった。

 他方、一般の上海市民もまた「無関心」だった。ニュースを見ていないという人も多かった。実際、ほとんど報道されてないのだから無理もない。また、筆者が面会した日中間のビジネスに携わる経営者のひとりは、「領土問題がある限り、関係改善に明るい兆しは見出しにくい」と否定的だった。

 この1週間、日中関係の改善については「やはり難しい」という結果を改めて突き付けられた。会見に先立ち呼びかけられた「良好な雰囲気づくり」もいつのまにか消えてしまった。上海の地元紙は会見を「二国間関係の改善の第一歩」としながらも、「歴史問題、領土問題の戦いは続く」と態度を崩していない。

 習主席の“仏頂面”が告げるのは、日本には国内向けにいまだ外敵を演じてもらいたい、そんなメッセージなのかもしれない。だとしたら今後すぐに「友好」に転換することはないだろう。また、中国がここまで成長した今、「80年代の蜜月」に戻ることも考えにくい。ぬか喜びは禁物だが、それでも何らかの変化は期待したいものだ。