現状がベストとは思わないが
ソーシャルは複数のアプリを使い分ける

 コミュニケーションの手段はさまざまだ。メールはもちろん、社内連絡のための業務用SNS、フェイスブックに加えて、特定のプロジェクトに用いる業務用のメッセージアプリが複数ある。それらがすべてオンライン状態で次々と着信通知をスマホに表示させる。

 たとえばフェイスブックのメッセージだけで、1日に100本以上(!)という膨大な量だ。日比谷さんは、アプリを切り替えながら、それらをすべてチェックしていく。外部の取引先、見込み客との交渉の状況は、Sansanシステムのコンタクト履歴に入力して、他の社員と共有する。

「本当は一本化できればいいのでしょうが、現状は難しいのでそれぞれの特性を考えて利用しています。たとえばソーシャルに入ってきた比較的“重め”の内容は、Gメールに転送して忘れないように対応することにしています。メールをToDo(備忘録)代わりに使っているのは、ノウハウの1つと言えるかもしれません」

 また、日比谷さんがネット上の仕事のやりとりで心がけているのは、「細かい連絡を多くしながら、複数の相手と同時進行のコミュニケーションを維持すること」だ。

「緊急度が低いと思った案件でも、短くていいので返信はできるだけ早く入れるように心がけています。その際、その返信にこちらから追加の質問を入れておくと、コミュニケーションも維持できますし、あとの話も早く進みます」

家族にグーグルカレンダーを開示

 前述の1日のスケジュールを見ても、平日は基本的に「朝の幼稚園送り」以外家族の用事をすることができない。帰宅が深夜になることも多く、奥さんと直接話す時間も少ない。

 そこで、自分の仕事のスケジュールが入っている「グーグルカレンダー」を、奥さんも閲覧できる設定にしている。当然、仕事が入っている時間は「予定あり」と表示されて、外部者である奥さんには仕事の内容までは見えないが、夫のスケジュールのどこが埋まっているのか、リアルタイムで確認できてしまう。

 グーグルカレンダー上の日比谷さんの空き時間は、社内のチームメンバーや広報担当などが次々とプレゼンや会議の予定を入れていくのだが、そこに奥さんも参戦し、予定の奪い合いが起きている。もちろん奥さんが押さえる予定は、週末の幼稚園の行事や家族のイベントだが、平日の仕事の予定も完全にガラス張りなので、急に子どもの迎えを頼みたい時などにどんな状況かがわかる。

 そんな日比谷さんの仕事のスタイルは、社内ではどう思われているのだろうか。広報部の磯山江梨さんは、次のように話す。

「仕事の役割によるところが大きいですが、彼と同じ仕事なら誰でも同じ働き方ができるとは思っていません。まだテストケースとしてのワークスタイルですが、自分から情報を隠さず開示して、きめ細かなコミュニケーションが取れる人であれば、今後はこのような働き方が広がっていくかもしれません」

 社内、社外、そして家族にも情報をオープンにして、それぞれのスケジュールを対等こなす。“自然体”が、日比谷さんが行きついた、企業人としての自分のパフォーマンスを最大限に上げる方法のようだ。

(取材・文/ダイヤモンド・オンライン編集部 指田昌夫)