そういう方たちに共通しているのは、家族の誰かが亡くなるまでは、「相続のことなんて気にしていない」という考えが多く、相続になれば、「専門家に頼めばいいんだ」と思っています。しかし、相続する方が予備知識なしに依頼をするから、トラブルに発展しているのもまた事実なのです。
相続で対応を間違えると、
家族はあっという間に崩壊する
相続税の改正が決まってからというもの、当事者の相続人が動き出す前に、相続をビジネスにしようという専門家たちの動きが過熱し、“相続ブーム”が起きていると言っても過言ではありません。
では、次の3つについて、皆さんはどうお考えでしょうか?
・きょうだい間で話し合いがつかないから、弁護士に依頼する
・相続税のことがわからない。相続税の節税をしたいから、税理士にお願いする
・遺産整理をお願いしたいから、信託銀行に頼む
とりあえず、この3点は間違いないだろうという方は、気を付けてください。
そもそも、弁護士は依頼人の味方であって、家族の味方ではありません。また、相手側も弁護士を頼み、話し合いはお茶の間から裁判所へ変わります。
税理士は税をきちんと納めさせるのが仕事で、節税を助けてくれるわけではありません。また、相続の経験が圧倒的に少なく、不動産のノウハウを持っている方はごく少数です。
そして、信託銀行の遺産整理業務に、100万円も払う必要はありません。正直、自分たちでできることばかりです。
今回、本書では、24の事例をご紹介します。なかには、「私たちみたいに後悔しないでほしい」という願いが込められています。失敗事例から学ぶことは多くあり、自分たちで解決できることや、不動産をうまく活用した節税対策など、有効なケーススタディになるでしょう。