2015年1月1日から相続に関する制度が大きく変わります。テレビや新聞、雑誌をとおして、相続という言葉をよく目にするようになりました。相続は、家庭の不和や絶縁、お金でのトラブルなど負のイメージがつきものです。手続きも面倒くさそうですよね。でも、その根っこには、専門家の選択を誤ったことが火種となっていたら……悔やんでも悔やみきれません。相続はとにかく困ることの連続です。だから、専門家(弁護士、税理士、信託銀行など)に頼りますが、それがすでに危ないのです。

では、どうすればいいのか? 失敗しない相続のために必要な知識と事例を、新刊『相続に困ったら最初に読む本 専門家に頼む前に最低限知っておきたい15のこと』の著者である曽根恵子さんにお聞きします。

相続の悩みの種は「不動産」
相談相手を間違っていませんか?

曽根恵子(そね・けいこ) 株式会社夢相続 代表取締役。一般社団法人相続コーディネート協会 代表理事。 日本初の相続コーディネーターとして1万3000件の相続相談に対応。 感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる相続の実現をサポート。NHK 「あさイチ」、TBS「Nスタ」、フジテレビ「とくダネ!」「ノンストップ! 」をはじめ、新聞、雑誌に数多く登場し、注目を集めている。 著書に、『相続税は「生前の不動産対策」で減らせ! 』『相続はふつうの家庭が一番もめる』(ともにPHP研究所)、『図解でわかる相続税を減らす生前の不動産対策』『図解でわかる相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル』(ともに幻冬舎)など多数ある。

 私が相続コーディネートをするようになってから実に22年。今までに1万3000件以上の相続相談を受けて、アドバイスや相続実務のサポートをしてきました。

 一人ひとり、家族の状況や財産の内容が違いますので、ひとつとして同じ事例がありません。それでも、「相続ではどのようなことに悩まれるのか」「なぜ、相続のときに大変になるのか」、次第にその本質や理由がわかるようになってきました。

その原因のひとつは、「不動産」です。

 財産の半分以上が不動産で、たいていの方は不動産を所有しています。「不動産があるから相続税がかかり、納税が難しい」「不動産は個々に違い、評価が難しい」「不動産があると分けにくく、もめてしまう」など。

 相続では不動産の知識がないと節税ができずに、トラブルのもとをつくることになりかねません。

 ところが、多くの方が相談したり、依頼したりする「弁護士」「税理士」「信託銀行」などは、いずれも不動産の専門家ではないのです。

 多くの方が、「税理士や金融機関などで相続税の概算を出してもらったけれども、その次の提案がなく、どうしていいかわからずに困っている」「弁護士に相談したが、具体的なことは何もできなかった」という問題を抱えて相談に来られるのです。