相続とは、亡くなられた方が家族のために財産を遺していくものです。これを家族の不和、絶縁などの引き金にしてはいけません。

 相続では、なにごともオープンにして家族のコミュニケーションを取りながら、選択、決断し、専門家に手続きを頼むにしても、自分たちで選択、決断するのです。その上で、よりよい相続のあり方をつくり出すためには、分割案や節税案などはノウハウを持つ専門家の知恵を拝借することが理想でしょう。

 本書では、専門家とのトラブルを減らすために、最低限知っておきたいことを、「点」で紹介していきます。大変だなと思う作業も、「7つのポイント」で見ていけば、実に単純な作業であることがわかります。そして、時間やお金など、テーマ別に分けた「相続8つの基礎知識」を紹介します。前者をタテ軸とするなら、後者はヨコ軸。両方を学べば、それだけで、相続の全体像をつかめます。

 相続は、一人ひとり、家庭により、事情が違います。まずは、相続の知識を持ち、自分たちでできることをしましょう。その上で、自分たちに必要な専門家を適切に選んで依頼するのです。そして、専門家に頼めばよいと任せきりにするのではなく、一緒に手続きを進めていくような心構えで臨んでください。

 相続は専門家のものではなく、家族で考え、取り組むものなのです。相続が「家族の身近なテーマ」となるよう、家族の相続ブームを起こしていただければと思います。