仮に1万円寄付したとすると、所得税と居住する自治体に払う個人住民税が合計で8000円減税される。負担増は2000円なので、5000円相当の記念品をもらえるということは3000円分もうかる計算になる。

 一方、1万円の寄付を受けた南足柄市は、この中から記念品(送料込み)の費用を賄うことになる。寄付者の希望商品を送付する地元業者に5000円を支払うのである。つまり、市の手取りは半額の5000円となる。それでも地元産品のPRになるし、送料込みでの実費が5000円未満であれば、地元業者にいくばくかの利益が生れることにもなる。

9割近くの寄付者が「相州牛」に殺到
破格の特典を用意した南足柄市の悲鳴

 ところが、南足柄市のふるさと納税では、特定の記念品に希望が殺到してしまったのである。2014年4月から9月の半年間に約2400件もの寄付の申し込みがあり、そのうちの9割近くの寄付者が記念品として「相州牛」を希望したのである。どこかのメディアが「ふるさと納税のお得な特産品ランキング」を作成し、南足柄市の「相州牛」が全国でもトップクラスに入ったという。

 通常、5000円相当の牛肉となると500グラム程度なのだが、南足柄市が提示した「相州牛」はなんと800グラム。寄付者にとって破格の記念品となっていたのである。

 もちろん、市から業者さんに支払われる金額は5000円で、業者さんは身を削って対応していたという。しかも、小規模事業者だったため殺到する申し込みに発送が追い付かず、やむなく人気の「相州牛」は9月でSOLDOUTになったという次第である。

 ふるさと納税の特典をめぐるドタバタ劇は以前から起きており、過熱するサービス合戦を見かねた総務省は、2013年9月、全国の自治体に「良識ある制度の運用」を求める文書を送付していた。