有権者が“野党連合”を形成する可能性も

 これに対する野党の動きも期待外れだが、それでも197選挙区で野党協力が実現している。

 私は真剣な有権者が絶妙の判断をして、票の分散による野党の共倒れを防ぐ投票行動を起こすものと信じている。お互いに無連絡な有権者が実質的な野党連合の形成に動くということだ。

 すなわち、明確な主張をし、当選可能性の高い候補に有権者が票を集中させることだ。所属党派を二の次にして野党勝利を優先する道だ。

 特に、(1)集団的自衛権の行使容認、(2)原発再稼働、(3)行政改革を怠った消費税増税について、あいまいな主張をする候補を見捨て、党派を越えて主張が明確な候補に支持を集中させるであろう。それほどこの3つの重要問題についての有権者の関心は高い。

 今回の総選挙は、選挙後にどのような政権をつくるかと言うより、とりあえず猪突猛進する安倍政権を有権者が立ちはだかって止めるかどうかと言うことに尽きる。「ストップ・ザ・安倍」である。総選挙は終盤に向かって盛り上がり、この筋で大きく展開するのは間違いない。

 思えば、私も関係した1993年の政変も同じようなものだった。

 われわれは、新政権の樹立を考えていなかったし、世間もそうであった。ただ、当時の自民党の腐敗政治との決別を誓って、8党会派がそれぞれの立場で自民党城に攻め込んだのだ。そして、思いがけず、自民党が過半数割れの結果を招き、8党会派はこぞって細川護熙政権を樹立したのである。その原動力は結束した国民世論であったという他はない。

 ところで、2年前の民主党政権の末期には、米国経済に確かな復調の兆しがあり、その後堅実な歩みを続け、ついに量的緩和に終止符を打つに至った。当初アベノミクスが、いわゆるマインドに大きなプラス効果を与えたことは評価するものの、やはり米国経済の堅調な回復など海外要因がアベノミクスの底流で有効に作用したことは否めないだろう。

 アベノミクスが順調でありさえすれば、他の問題(特に前述の3つ)は容易に突破できる。そう安倍首相は考えていたのだろう。しかし、その肝心のアベノミクスに今や最も厳しい批判と反発が寄せられているのだ。これは安倍首相の歴史的誤算と言うべきだろう。