事例4)不動産は自宅だけ。相続税の申告を自分でしたHさん

お金をかけなくても相続の手続きは自分たちでできる<br />節税の余地がないなら、基本的に専門家はいらない

【相続事情】定年まで教師を続けてきた

 Hさんの両親はともに教員で、職場で出会って結婚。姉とHさんが生まれたあとも母親は仕事を続けてきました。父親は、Hさん姉妹が学生時代に亡くなりましたが、その後も母親は仕事をしており、経済的な不安はありませんでした。

 Hさん姉妹はそれぞれ20代で結婚し、家を離れましたが、母親は定年まで教師を務め上げました。その後も、地域のボランティアなどをし、80代半ばまで実に活動的な生活をしてきました。

 姉もHさんも、それぞれ仕事を持っているので、頻繁に実家に行くことはできませんでしたが、母親はずっと元気でした。本人も90歳まで大丈夫と話していましたが、急に体調を崩して入院したまま、病院で亡くなってしまったのです。85歳でした。

【これが課題】想像以上の現金を残していた

 母親は、まだまだ元気だと思っていたので、相続のことなどまったく話さず、対策もしていないどころか、姉もHさんも母親の財産がどれくらいあるか知りませんでした。

 母親は、本当に質素な生活をしており、贅沢をしたことがありませんし、まとまった出費をしたこともありません。家は父親が建てたときのままで、老朽化したところだけを修理してきたようです。