そんな母親でしたので、姉もHさんも、多少の現金は残っていると思っていました。ところが預貯金残高を確認すると、定期も含めて7000万円もあることが発覚。それだけでなく、株が6000万円あり、金融資産の合計は1億3000万円。母親同様に堅実な生活をしてきた姉もHさんも、想像以上の額で驚きました。

 母親の地味な生活を見ていたので、おそらく自分たちは相続税の申告は必要ないだろうと思っていたのですが、基礎控除をはるかに超えていたのです。

【現実はこうして解決した】節税の余地はなく、自分たちで申告

 相続税の申告をしなければいけないことがわかり、書店に行って、参考になりそうな本を購入。申告の仕方を確認し、専門家に相談してみました。

 結局、母親の財産は、自宅(2800万円)と金融資産で、自宅に同居する人もいないため、節税の方法がないことがわかりました。姉もHさんもすでに夫と共有の自宅を所有しているため、小規模宅地等の特例が使えません。また、自宅は分譲地の整形地ですので、路線価×面積で計算できます。

 専門家に依頼しても節税の余地があるわけではないので、Hさんは自分が申告書を作成しても変わらないことに気がつきました

 そこで、Hさんは姉とも相談し、自分で相続税の申告書を作成して、税務署に提出することにしました。財産の分け方については、姉と等分にすると最初から話し合っていましたので、問題はありません。

 それから、まずは税務署に出向き、相続税の申告書類一式をもらってきました。内容はそれほど複雑ではなく、無事作成することができました。遺産分割協議書も本を参考にして作成して、添付しました。相続税は1人1040万円となり、母親の預貯金を分けた中からそれぞれ払うことができ、相続手続きは終えられたのでした。