信託銀行は、一般の銀行業務を行いながら、信託業務も行うところです。生前対策として贈与をする場合、「教育資金贈与」や「暦年贈与」を信託契約することができます。

相続が発生したときは、「遺産整理業務」で、財産目録作成や名義変更などの手続きを、相続人に代わって行ってくれます。基本は自分たちでできることばかりです。時間に制約があればお願いするのもありですが、割高です。問題はうまく物事が進まなかったり、相続人がもめたりしたとき。今回のケースでは、何がトラブルとなったのでしょうか。ポイントは、「信託銀行の業務をきちんと理解しているか」です。

遺産整理業務の報酬が一番高い

 弁護士でも税理士でもないとなると、次は、「信託銀行」という方もいるでしょう。テレビや新聞などの宣伝効果は大きく、インパクトがあります。また、信託銀行の店頭や担当者からもお勧めされるようです。最近では、教育資金の一括贈与の非課税措置が新設され、贈与資金の信託も始まりましたので、活用されている方もいるでしょう。

 しかし、信託銀行は、相続後の手続きが主業務です。公正証書遺言があれば、遺言執行者として財産目録を作成し、預貯金の解約をし、相続人に引き渡すのが役目です。

 財産目録は税理士が作成したものを援用することが多いようです。また、預貯金の解約は、ストレートに相続人に引き渡すのではなく、一旦、信託銀行が受け取った上で、手数料を差し引き、遺言書通りに分配することになります。

 それだけの業務なのに、最低報酬は100万円で、さらに財産価額によって加算する方式ですので、3億円の財産であれば、300万円を払うことになります。さらに税理士の申告費用は別に払わなくてはなりませんので、費用の総額はもっと増えるのです。