リアルとデジタルを組み合わせた
マーケティング事例に熱い視線
12月4日、東京・虎ノ門ヒルズの下層階にあるカンファレンス用エリアは、米セールスフォース・ドットコム日本法人のイベント「ワールドツアー2014」のサテライト会場として貸し切られていた。当日は冷たい雨が降るあいにくの天候だったが、メイン会場である芝公園のプリンスタワーからシャトルバスで訪れた人も含め、大勢の来場者でごった返した。
中でも注目を集めていたのは「マーケター必見」と銘打たれた、デジタルマーケティング先進企業のパネルディスカッションだった。当日、2回に分けて行われた講演はどちらも、400席規模の会場が満席だった。
意外なのは、この講演はセールスフォースのユーザー企業の事例ではなく、ITツールの使いこなしの話などもほとんど出てこない。もっぱら、登壇した企業のマーケターが業界動向と自社のマーケティングの新しい取り組み(デジタル、リアルにかかわらず)を紹介し、それについて各社のマーケターの間で意見が交わされるというもの。ITイベントらしく、デジタルマーケティングの最新技術の話と思って参加したら、肩透かしにあっただろう。
にもかかわらず、会場は熱気に包まれていた。登壇した企業のマーケターが説明のために用意したスライドが切り替わるたび、来場者は身を乗り出し、スマホのシャッターを切る音があちこちから聞こえた。自社のマーケティングのヒントになりそうなことなら、どんなことでも聞き逃さない、という雰囲気に溢れていたのだ。
マーケティングを一から見直す
“議論の場”の必要性
参加者もマーケター、講演者もマーケターというこのセッションを主催したのは、「JAPAN CMO CLUB」という会員制組織だ。
11月6日に発足したこの組織を仕掛けたのは、宣伝会議編集主幹の谷口優氏と、セールスフォース・ドットコム Marketing Cloud製品のマーケティング担当である加藤希尊(みこと)氏の2人だ。
宣伝・広報職に向けた専門誌やWebメディア、教育事業を手掛ける宣伝会議と、デジタルマーケティングITツールを提供するベンダーであるセールスフォースは、立場は違うが、ともに企業のマーケターと日常的に接している点では共通している。共に、企業のマーケターたちの迷いや悩みを聞かされることが日増しに増えていたという。