都心部でのアパホテルの集中出店や、高級マンション事業などへの事業拡大を掲げ、「頂上戦略」を展開してきたアパグループ。現在の進捗状況と今後の戦略について聞いた。

──東京都心にホテルを続々とオープンさせてきたが、稼働率や客室単価の状況はどうですか。

もとや・としお/1943年6月3日生まれ、71歳。1971年石川県小松市において、アパ株式会社の前身である信金開発株式会社を設立。北陸で商業施設開発やマンション事業を手掛ける。1980年、アパホテル株式会社を設立。2002年、東京にグループ本社・アパホテル本社を移転。現在、全国に300軒(4万6700室)のホテルを展開し、カード会員は800万人に上る。

 ほぼ毎日満室で1日2組迎える客室もあることから、稼働率は100%を超えています。

 とはいえ、客室の価格設定は完全に市場連動型で、安売りをしているわけではありません。各店の支配人に権限を持たせる形で、需給を見ながらメリハリのある価格を設定しています。

──今年から来年にかけて新宿地区に積極出店しますね。

 今年夏に新宿御苑(411室)がオープン、来年秋にはいよいよ歌舞伎町タワー(620室)が開業予定で、ここ数年、新宿のホテルは一気に5軒になります。

 コマ劇場跡地の再開発もあって、新宿は若い人が集まる、活気ある健全な街に生まれ変わります。日本人だけでなく外国人観光客もおり、需要はいくらでもありますよ。

──2020年の東京五輪開催も決まり、土地や建築費が上昇しています。

 当社はリーマンショック後の地価暴落時に、都内で土地を積極的に取得してきたわけですが、今は「脱土地戦略」を進めています。自治体の入札に参加して、借地にホテルを建設することも始めました。例えば東京の下町・両国に、1000室もの大型ホテルを18年に開業する予定です。