空き家を活用した移住誘致策
田園回帰志向の若者が増えている

今年5月に就任したばかりの長谷川最定村長

 ですから、(日本創成会議の推計値に)びっくりしたということはありません。ただ、向こうのグル―プは学者なので、自治体の名前を公表し、「消滅」という言葉まで使いました。村民として、いい感じはしませんね。

 1人暮らしの高齢者世帯が300くらいあって、高齢者だけの世帯も400ほどあります。村の6割が高齢者のみの世帯ですが、皆さん丈夫で明るく暮らしています。村が何か大変なことになっているというわけではありません。

 私は(2014年)5月に村長に就任しましたが、その前日に支援していただいた村民から「村長として外で挨拶をするときに、いままでのように「高齢化日本一」なんてことは言わないでくれ」と言われました。もう聞き飽きたと皆さん、いいます。

――南牧村は、空き家を活用した移住者誘致策(連載第117回)をかなり早くから進めていますが。

 職員のとき、空き家対策の最初の担当者となり、10年くらいやりました。この事業を村が始めた頃は、なかなか協力を得られませんでした。「知らない人が来るのは困るので、やめてくれ」という声が多かった。村外にいる大家さんが了解してくれても、近所の人が大家さんに「貸すのはやめてくれ」と電話して、ダメになったケースがたくさんありました。

 それが村の青年たちが動くようになって、近所の人たちも協力してくれるようになりました。こういうことは、役場だけでやってもダメですね。

 最初の頃、空き家に移住してくるのはほとんどがお年寄りでした。若い人は10軒に1軒くらいでした。最近は若い人が増えて、10軒のうち3、4軒が若い人という感じになりました。でも、それは村が若い人向けに何か特別な政策をとっているからではなくて、田園回帰のようなものがあるからです。カネを稼ぐだけが人生ではない。そんなに金が稼げなくても安全なものをつくって食べていく方が良い、と考える若い人が増えています。